第23話 応急救護
第二段階の学科最大の山場、それはなんといっても応急救護。これにつきる。
応急救護の日、俺はいつもより沢山寝て体調を万全にして教習所にやってきた。
応急救護部屋に入ると、毛布に包まれた物体が三つ。
中身は人形のようだ。なんだかモルグにでも入った気分だな。
応急救護教習の最大の特徴は学科唯一の実技であり、そして三時間ぶっとおしの教習であることだ。
三時間連続で受けないと単位として認めてもらえないので途中で体調が悪くなって抜け出したりしても最初から教習を受けなおさなければいけなくなる。
予鈴が鳴り、決して広くは無い教室に一人、また一人と教習生が入ってくる。人数は俺を入れて12名。なかなかの大所帯だ。
一時間目。
前半は応急救護のビデオと教本を見ながらの講義。
残り二時間は完全に実技のみ。なかなかにハードな三時間だった。
一時間目終了後の休憩中、指導員がおもむろに三体の模擬人形の毛布をはいでいった。
手をピンと伸ばして仰向けに寝ている人形を見て、思わず
笑ってはいけないハイスクールの渡辺君を思い出してしまう俺。
たまらず吹きそうになるが、なんとか堪える。
実技一時間目は人工呼吸と心臓マッサージの練習。
3~4人で組を作って人工呼吸から順番に行っていく。
一番最初に人工呼吸を行おうとしたとき、
気道確保が上手く出来ずなかなか息を吹き込めなかったが何回か行ううちにそつなくこなせるようになった。
次の心臓マッサージは特に問題は無かったが30回連続でマッサージしなければならず、
これがけっこう大変だった。
想像していたよりもずっと体力を使う。
お医者さんは大変だ。
実技二時間目。
最後は前の時間を踏まえ、負傷者の発見から救急車が来るまでのシュミレーションを一人一人行っていくことになった。
①周囲の確認。
②負傷者の意識確認。
「もしもし、大丈夫ですか?」
と人形に対して話しかける。
周囲が皆真面目そうな学生さん達ばかりだったので
「もしもし、生きてますか? 死んでませんか~?」
などとボケることもなく、真面目に熱演。
③人を見つけ、119番(模擬では指導員)を依頼。
AEDを持ってきてくれるようお願いする。
間違えてLEDと叫んでしまった。
④人工呼吸二回。
⑤AED使用。
⑥人工呼吸2回心臓マッサージ30回を4セット行う。
本来の実技講習では5回やるそうなのだが
その日は時間の関係で4回となった。
実際の場面では救急車が来るまで行うらしい。
⑥が一番ハードだった。心臓マッサージって本当にキツイ。
そんなこんなで応急救護終了。これでついに全ての学科が終わった。
あとは卒業前効果測定に合格するだけだ
派生元作品はこちら
https://kakuyomu.jp/works/1177354054890338560/episodes/1177354054890338592
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます