第19話 ABS・急ブレーキ教習

  第二段階もいよいよ後半戦。

  そして今回は急ブレーキ教習。            

 一時間、みっちりシュミュレーターを使って行うらしい。

 また所内か。まだ経験が浅いからあんまり乗らないと勘が鈍りそうで怖いんだが。

 急ブレーキ教習は教習生三人で行った。

 男二人に女一人。

 若者とキャアキャア騒ぐ女の子と一緒。

 両方とも18歳か。若いな・・・こういうとき、俺はもうオッサンなんだな、とつくづく感じる。

 急ブレーキ教習のメインはABS体験だった。

 ABSというのはアンチロック・ブレーキ・システムの略でなんでも急ブレーキを踏んで止まるときにタイヤをロックして横滑りなどを防いでくれるシステムらしい。

 最近の車には標準装備されているそうだ。

 だが、しかしこのABS。こいつを作動させるには全力100%の力でブレーキを踏み込まないといけない。

 指導員曰く、 いざという時にABSを確実に作動させられるほどのテクをもつドライバーはごく限られているそうだ・・。

 ・・・・意味あるのか? そのシステム・・・。

 ABS体験後は急ブレーキを想定し、シュミュレーター教習を延々と行った。

 前述の急ブレーキ体験やカーブ走行体験、そして応用体験の緊急制動・回避体験。

 シュミュレーター教習で走行中、対向車両の影から子供が横切ってきたので急ブレーキを踏んだら後ろの車に追突されてGAMEOVER。

 子供が右に駐車車両の隙間からきたので、ハンドルを右に切って避ける場面だったらしいのだが・・。とっさにそんな冷静な判断

は今の俺には出来ないよ。

 一応自分のブレーキ反射速度は0.68秒と同世代の平均0.80秒を結構上回っていた。

 俺はゲーム好きでアクションやらFPS等のゲームを得意としているから、反射神経には多少の自信はあるが。

 しかし車の運転は認知・判断・操作なのでいくら人より反射神経が多少良くたって認知が遅れたら何にもならない。

 飲酒運転時にもっとも下がる能力は認知だからね。

 急ブレーキやABSは使用しなければならないが、基本的には急ブレーキを踏まないような運転を心がけることが大事だということが良くわかった教習だった。むやみに急ブレーキを踏むと追突される恐れがあるみたいだし。

 あと、大抵の危機的局面はハンドル操作で乗り切る方がよいのかもしれない。前述のような場合は特に。

 まあそれも時と場合によるので。とどのつまり、車の運転で大事なのはいかに早く危険を認知できるか、なんですな。

 話しは変わるが、俺はすでに路上にガンガン出て走っているのだが、指導員曰く、教習車を煽る輩は結構多いらしい。

 しかもその輩は若者ではなく、どちらかといえば年配に入る高齢ドライバーが圧倒的に多いんだとか。

 逆に若いドライバーの方が教習車を見ると怖がって距離を開けたりする傾向が強いらしい。

 なんだかなあ。

 最近のこの世の中、若者の犯罪ばかりがクローズアップされて、年配世代の幼児化を無視している感がある。重要な社会問題になる前に、これまでの老人は親切で博識というイメージを捨て去る努力が必要だと俺は思った。全共闘時代を生き抜いた団塊世代はパワフルな存在だからな。


派生元作品はこちら

https://kakuyomu.jp/works/1177354054890338560/episodes/1177354054890338592

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る