Act.2-5
そのシャボン玉のような物体に右手が触れた瞬間、パッと光が弾けるように割れた。
弾けると同時に、その光は綺麗な
「へぇ……」
「わぁ……」
「これは……珍しいですわ」
ララ、リリ、ルルの三人は口々に感嘆の声をあげる。
「え……これは一体何の能力なの?」
三人の驚き様に首を傾げて尋ねると、リリが答えた。
「ミア様の能力は“ガーディソウル”ですわ」
「ガーディソウル?」
「はい。ガーディソウルとは、ガードナーのパートナーとなる守護獣・ガーディの
「ガーディソウル、かぁ……」
何らかの魔法能力を期待していたのだったが、直接自分が使える能力でなかった事に対して一瞬肩を落とす。だが、三人の驚き様を見て「これは特別な能力なんだ」と思い、少し嬉しくなって胸に手を当てた。
「素晴らしい能力ですわ。きっと、ミア様の旅のお役に立つ事でしょう。それでは、ワールドへと向かいましょう。こちらの台にお乗り下さい」
リリに指し示された場所を見ると、受付横に一段高くなった円柱の台のような場所がある。ゆっくりとその台ヘ上がると、ルルが駆け寄ってきた。
「ミア様、これをお持ち下さい」
彼女が差し出したのは、ワンショルダータイプのリュックだった。ショルダー部分が黒で、物を入れる袋の部分は赤と黒のチェック模様、チャック付きのポケットが前面に一つだけというシンプルな作りで、美亜好みのものだった。
「あ、可愛い」
「その中には、旅を始めるために必要な物が入っています。どうかお気を付けて……」
「うん、ありがとう!」
美亜はニコッと笑い、リュックを背負う。それは、彼女がここに来てから初めて見せた心からの笑顔だった。
「それじゃあ、行くよ!」
ララはその言葉と同時に、カチカチとキーボードを打つ。すると、美亜が立つ台を型取るように足元から円を描いた光に包まれた。
キュイーン……と音を立てて天へと無限に伸びる光に、吸い込まれそうな感覚を覚える。その時、ふと頭に一つの疑問が浮かんだ。
「そういえば聞き忘れてたけど……もし、この世界の中であたしが死んじゃったらどうなるの?」
「それは………その時点でゲームオーバーとなりますわ」
リリが、少し困ったように笑った。
「ゲームオーバーって事は、元の世界に帰れるって事?」
そう言ってララを見ると、首を横に振る。
「え……ゲームオーバーって……ゲームオーバーって、ま……さ、か……本当、の……?」
最後にルルの方を見ると、こちらもまた困ったように笑いながらコクリと頷いた。
「え……」
誰もハッキリ明確には言葉にしないも、易々とその答えが分かってしまった。分かってしまったその恐ろしい事実に、美亜の全身から血の気がサッと引いた。それと同時にパァッと光量が増し、全身が強い光に包まれる。
「いってらっしゃい。お気を付けて!」
三人が笑顔で同時に告げる。
「え゙え゙え゙ぇぇぇーーーーっ!」
叫ぶと同時に、バシュッと大きな音を立て、光と共に美亜は消えた。
部屋には、“ゲームオーバー”の本当の意味を知った美亜の叫び声だけが、しばらくこだましていた……。
Promise World 第一章 みあ @mianin27
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。Promise World 第一章の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます