Act.2-4
そこで説明がプツリと消えて画面が真っ黒になると、パネルが元の位置へと戻って行った。
「え……これだけ?」
美亜が尋ねると、ルルがコクリと小さく頷く。
「要するに……光の原石を探し出してクリスタルを造って、闇の精霊を抑えればいいって事かな?」
そう納得したように言うと、ララが驚いたようにこちらに顔を向けた。
「随分、物分かりがいいんだな」
「ハハ……伊達に何十本もゲームしてませんから」
少し照れ臭そうに頬をポリポリと掻く美亜に向かい、リリが笑顔で話を進める。
「それでは話が早いですわ。早速、ミア様にはワールドに向かって頂きましょう」
「ちょ、ちょっと待って! 目的は分かったんだけど……どうやってその光の原石を探せばいいの? それに、さっき言ってた帰るために必要な条件って何?」
急な提案に驚きながらもそう問い掛けると、リリが困ったように笑った。
「それは、私達には分かりかねますわ……私達がお話出来るのはこのゲームの説明だけ。どのようにして見つけ、解決していくかはご自分で調べていただかないと」
「そっか、それがこういうRPGゲームの醍醐味でもあるんだもんね」
そう自分を納得させるように呟くと、今まで黙っていたルルが口を開く。
「あ、仲間集めは必要ですよ! ミア様だけでは、旅を続ける事は出来ませんから。世界には闇の住人が居ますから、ミア様を護るためのガーディアンを見つけないと!」
「ガーディアン?」
「はい。ガーディアンとは、ミア様を護るため、ミア様と契約を結んだ守護者の事です。ガーディアンになりうる者は、ガーディと呼ばれる守護獣を持っています。この世界では、ガーディを持つ者の事をガードナーと呼びます」
「ガードナー……」
「そのガードナーの中から、ミア様がガーディアンに相応しいと思う者と契約を結び、共に旅するのです」
一通り説明し終えると、ルルの言葉に続けるようにララが話し出した。
「ガーディアンを選ぶ時は、しっかりと見極めてからの方がいいと思うよ」
「どういう事?」
首を傾げると、リリが悲しそうな顔で答える。
「先の説明でもありましたように、人々には邪悪な心が芽生えてしまいましたの……ですから、ガードナーの方が全て協力的とは限りませんわ」
「つまり、ガードナーでも悪いヤツは居るって事。ミア様は女だから、何されるか分からないよ。ま、それはガードナーだけに限った話じゃないけどね。フツーのヤツらにも、悪いヤツはたくさん居る……それだけ、世界は混沌としてるって事だよ」
言葉を濁すリリとは対称的にハッキリと告げるララ。二人の話に、美亜の胸には急激な不安感が押し寄せる。
普通のゲームとは違い、このゲームは生身の身体で体感するものだ。いくら空手が強くても敵わないかもしれない。魔法など使われたら一貫の終わりだろう。
そんな考えが頭を過ぎり、更に不安が募っていく。美亜の不安そうな顔を見兼ねたリリが、意を決したように口を開いた。
「では一つ、私達から贈り物を捧げますわ。ララ、ルル」
リリがそう言うと、三人は右の掌を互いに合わせるように天にかざす。
暫くすると、その先がキラキラと輝き出し、一つの輝く丸いシャボン玉のような物が現れた。
「ミア様、これに触れて下さいな。そうすれば、貴女に相応しい
そう言って、リリは優しく微笑む。
美亜は少し戸惑いながらも、そのシャボン玉のような物体に右手を伸ばした。
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