第2話 サンドスター
・・・予想以上に大変なことになっている。
正直言って、そこまで被害は甚大でないだろう、そう思っていた。
どうやらその予想は全く外れたようだ。
俺はてっきりセルリアンはもう殆どおらず、逆にフレンズは一定数いるのだろうと、そう予測を立てていた。
しかし時計が「2017年3月29日1時42分」を指しているということは、
その時、この付近もしくは島全体で何か大きな出来事があった
と容易に想像できる。
となると、その時にはもうフレンズは・・・
となると、一刻も早く奴を倒さなければいけない。
しかし、それが出来るかどうか・・・
別に敵は未知の生物や密猟者などというわけではない。
言ってしまえばセルリアンのようなものである。
ただ・・・色々と厄介なことがある。
その中で一番厄介なのは、サンドスターに関してだ。
それはフレンズがセルリアンに勝てなかった理由でもあるし、同様にパークのスタッフが為す術なく撤退した理由でもある。
それは
自分がサンドスターを持っている
ということだ。
別に自分はフレンズでも、その血を引いてるのでもない。
そのような人は過去にいたとは聞いているが・・・少なくとも自分ではない。
自分は普通のヒトだが、何故サンドスターを持っているのかは正直わからない。
いくつか見当はついているが、どうもいまいち確証が持てない。
まあそれはこの問題が全て片付いた頃にわかるのだろう、そういうことにしている。
そんなわけで自分はサンドスターを持っている。
サンドスターを持っている、つまり体内にある事で、メリットとデメリットが存在する。
まずメリットだが、これは体の調子がいい、ということだけだ。
まずパークに来て実感したのは、「体が軽い」ということだ。
別に自分がコカインやピエールを摂取したわけでもなく、またダイナモ感覚に陥っているわけでもない。
昔聞いた話だが、どうやら生身の人間がサンドスターを持っていると、体が軽くなるらしい。
おそらくこれではないかと思う。
次にデメリットだ。さっき厄介だといったのはこれだ。
それは「セルリアンに捕捉される」ということだ。
仮にセルリアンがいたとしても、倒せばいいじゃないかと思うかもしれない。
それはそのとおりだ。だが、それが出来るのは対抗策を持っている場合だけだ。
俺はなんの武器も持たず、野生解放が出来るわけでもない。
つまり襲われたら終わりだ。
そしてもう一つ。これがフレンズが対抗できなかった理由でもある。
それは、今このパークでは「サンドスター・ロウ」の方が多いということだ。
別にフィルターを張ればいい話ではある。
しかし、張る作業に人数を割かれれば話は別だ。
そしてセルリアンがフレンズの数を減らせば・・・
こんな感じで今の状態はデメリットが多すぎる。
というわけでフィルターを設置しよう、となってもそこにはセルリアンが大勢いるだろう。
おそらく俺の存在は気づかれている。
そしてこの集団ストーカーから逃れるには、それを倒す術を身に付けるしかない。
となるとまずはフレンズを探さなければいけない。
よし、サバンナ地方から行ってみるか。
モラトリアム sample @sampler
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