『Hello, Hello and Hello』をご紹介しましょう。

キム

『Hello, Hello and Hello』をご紹介しましょう。

 私の好きな作品、『Hello, Hello and Hello』をご紹介しましょう。


 この作品を一言で紹介するなら、読者わたしが見届けることで完成する物語です。


 女の子が、一人の男の子に出会い、恋をします。

 男の子が好きな髪型にして、男の子が好きな服を着て。自分のことを好きになってもらうためにたくさんの時間をかけて男の子の好みになった女の子は、何度も何度も男の子に会いに行きます。

 女の子にとって世界の全てである男の子。

 ――だけれど神様は、残酷なのでした。


 作品を楽しんでもらうためにもあまり多くは語れないのですが、とても心に残る作品です。

 世界観はもちろん、タイトルや登場人物の名前に込められた意味、表紙のイラスト、そして作者の葉月文先生のあとがきすらも、この作品の魅力と言えるでしょう。

 とても切なくて、思い返す度に胸を締め付けられてしまう。だからこそこの恋は美しい。そんな、出会い願い別れ希望の物語です。


 ――もし、貴方がこの本を読んでいないのであれば。


 この物語は、まだ終わっていません。まだ始まってすらいません。

 これは、読者あなたが読まなければ始まらない、読者あなたが読むことで完成する物語です。


 読者あなたが本を手に取ることで、一つ目の《Hello》が始まります。ページを捲る度に重なっていく《Hello》は、しかし本を読み終えても止まることはありません。

 本を閉じても、瞼を閉じても、読者あなたが彼女のことを忘れない限り、その《Hello》は続きます。


 ――もし、貴方がこの本を読んでいないのであれば。


 どうか、会いに行ってあげて。

 そして、彼女に《Hello》と言ってあげて。

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『Hello, Hello and Hello』をご紹介しましょう。 キム @kimutime

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