第2話 山崎 桜 という少女

高校1年。




 4月15日。入学式も終わり、新入生も次第に学校の環境に慣れてきている。

そろそろクラスでの立ち位置やら、学校生活の指針を決めていこうと考える時期だ。


 俺は北島 悟。一見、どこにでもいる男子高校生だ。


 どこにでもいる、というのに定義が必要とも思えないが、少なくとも外見や学校の成績は平均点クラス(もしくは平均より少し下くらい)の、はず。


 家から近い共学の進学校である、県立弘前高校を受験して合格し、小学校から飛び飛びに継続している野球を中学からの惰性で続け、高校でも野球部に入部するつもりだ。

 ここら辺のプロフィールを自己分析してみると、やはり


『ちょっとスポーツやってる系男子』


 以上の事はない。サッカー男子に比べて、野球男子はもてないけどな!

 弘前高校の野球部は「学業優先」でやっている「高校生の学生スポーツ」の域を出ない。

 まぁ、悪く言ってしまうと、いわゆる「エンジョイ勢」という事になる。練習や試合を不真面目にやっているわけじゃあないが、赤点を取ると部活禁止だし、試合の勝利のために他の学生活動を犠牲にするほどでもない、というやつ。

 野球の強豪校、というわけじゃないから当然だな。

 その分、規則はゆるい。男女交際だって、校則に則った範囲(不純異性交遊を禁ず)ならばオーケーだし、部に迷惑をかけない範囲なら(校則違反を含めて不良行為を行わなければ)、かなり自由だ。


 俺はごく平凡な高校生活を営むつもりだし、現状ではそうだ。


 しかしいわゆる【リア充】ではない。


 彼女がいないからだ。異性に本格的に興味が湧いてくる年頃の男子にとって、ここは分水嶺である。彼女がいる奴がリア充、いない奴が非リアなのだ。

 しかし、周りの人間は俺の事をリア充だと思っている。


「おーい悟!いっしょに帰ろう!!」


 帰宅しようとする俺に声をかける女子。こいつのせいだ。周りはこいつを俺の彼女だと思っているのだ。


「今日さ、ちょっと話があるの。家の近くの公園に寄ってかない?」


 なにやら背後から『クソが!公園デートかよ』『見せつけやがって』などという怨嗟の声が聞こえるが、デートなどではない。断じて。

 デート、というのが『日時を決めて会う』とかいう意味なら、そりゃ確かに広義ではデートかもしれんがな!ついでに言えば、こいつは今『寄ってかない?』とか言ってたが、この言葉は聞いた通りの【提案】などではない。【依頼という形の命令】なのだ。


 この女【山崎桜】は、俺の幼馴染にして暴君である。

 一見すると、見た目の良い美少女だ。

 国民的アイドルコンテストに出て優勝できるほどではないが、地区予選を突破して本戦に参加できるくらいの容姿は整っている。

 肌は白い。肩より少し長い程度のストレートの黒髪も艶やかだ。山崎の母親が口うるさく教育したおかげで、肌と髪の手入れは(男子の目から見て)かなりのレベルだろう。

 顔も小顔で、眉も鼻筋もすっきりと通っている。唇も健康的だ。現代日本人の美観で美少女だ。

 ボディラインも高校女子1年生としては、かなり恵まれている。というか胸だけはでかい。

 身長は170センチ弱か(俺よりも少しだけ低いのでそんなもんだ)。

 声は少し高めで、とても可愛い。


 つまり、女子の平均身長より少し高い上背のバランスの取れた体格に、でかい胸と可愛い顔、奇麗な髪が乗っかった美少女

 という事になる。


 …これで性格が良ければ、俺だって彼女にしたいとか、告白したいとか、本当のデートに誘うとか、そんな事を考えるんだがな。


 繰り返すが、【山崎 桜】は、俺にとっては暴君である。


 わりと簡単なエピソードとしては。

 小学4年の時に、凄まじく不機嫌なコイツに


『おまえを鍛えてやる』


 とか言われ、何週間かの間、毎日毎日家から引きずり出され、近くの山に引きずり込まれ、オリジナル剣術だかなんだか良く解らん特訓をさせられた。


 あと、小学校を卒業するくらいの時に


『もう中学なんだから、桜ちゃん呼びはナシで』

 と言われ、ほんの少しだけ色気づいていた俺が


『じゃあ、桜、って呼ぶよ』

 と言ってみたら、即座にボディーブローが胴体にめり込んだ。


『さん付けはしなくていいからさ、山崎って名字で呼んでくれない?』

 と言われた。ちなみに俺は「悟ちゃん」から「悟」の名前呼び捨てに変更である。


 こいつは俺の事を子分か所有物くらいに思っている。間違いない。

 これだけでこの【山崎 桜】という女子が普通ではない、という事が分かると思うが、こいつが普通ではない部分が、もう一つ…いや、一つじゃないな。


 代表的なやつが、一つある。

 こいつ、山崎 桜は【前世系】なのだ。


 …前世系とは、『前世の記憶がある』と言い張る、いわゆる不思議ちゃん(君)である。

 大抵の場合、「そうだったらいいな」とか「そういう設定で自分を特別化したい」とか「単に目立ちたい」とかの理由で口に出す、【ただの設定】なのだが。

 こいつに関しては、ただの設定なのかどうか、俺には判断がつかない。


 普通の前世系(前世系が普通かどうかは別だ)ならば、どこか異世界の王女様だとか王子様だとか、勇者だとか魔王だとか。過去の偉人の生まれ変わりだとか、そんなやつだが。


 こいつは【未来人】と言っている。

 なんでも、未来人とは言っても一般人で、ごく普通の生活をしていたらしい。

 あと前世では男だったような気がする、とも言っていた。

 ちなみに未来の発達した科学がどうこうした話になると、「よく覚えていない」とか言い出すので、急に胡散臭くなるのだが、こいつは【自分が死んだ直前の記憶だけは鮮明だ】というのだ。


 死んだのは、月面の地球側だったそうだ。

…こいつが「前世の記憶がある」と俺に打ち明けた時、確か俺は小学2年か3年だったと思う。

 当時は今よりもピュアだったし、月がいつも地球に同じ面を向けているなんて事も知らなかったから、けっこう食いついて話を聞いた覚えがある。強烈なイメージはけっこう記憶に残っているものだ。

 こいつが前世で死んだ当時、月面旅行は比較的安くなっていたそうだ。

 とは言っても、一生に一度行けるかどうか、というレベルではあったそうだが。

 現代の常識で言えば、高級な外国旅行レベルだろうか?

 月面旅行に、なんとしても行きたかった。なぜかは覚えていない。そこで予約、順番待ち、滞在日数、もろもろの都合をつけて月面旅行に行った。

 そして、事故が起きた。

 絶対安全なはずの月面観光車両が、突如として横転したのだ。

 整備不良か、隕石の回避ミスか、システムの不具合によるものか。客にはそんな事は分らない。破損した車両のドアから外に出てみれば、小さな小さな地球が見えた。

 そして、救助が来るよりも早く、酸素が無くなり、自分は死んだのだと。


 この話を聞いた時、俺はゾッとした。

 宇宙に漠然とした夢や希望やワクワクを感じていたけれど、事故が起きればまず助からない、自力ではどうしようもない、生物の生存できない環境というものに恐怖を感じた。

 以後、宇宙空間とか、何もない大海原とか、深海だとかに恐れを抱くようになったと思う。

 また、これを機に、山崎 桜という女を尊敬するようになった。大人っぽかったからな。


…暴君の素質があると知っていたら、もう少し距離を置いたんだが。


 ちなみに俺ではこいつに勝てない。

 こいつ曰く「前世の大人の記憶の残滓による処世術」によって、大人受けがいい。つまり社会的な発言力とか信用がある。証拠のない争いや、子供の証人程度ではこいつと喧嘩をすれば完全に負ける。


 勉強もできる。小学生のころはぼぼ全教科で満点を取っていた(音楽や写生などの芸術科目以外)。運動もできる。小学生の頃、小学4年までは俺と同じく野球をやっていたが、投・打・走すべてで、ほぼ完璧だった。


 喧嘩も強い。どこかの道場に通ったわけでもないのに、怪しげな剣術(のような技)と、投げ技を使いこなし、小学5年の時に大ゲンカをやらかして(相手は中学の不良グループだった)5人全員を叩きのめし、全員が転校するまで追い込んだ。なお、不良グループなんてチンピラ予備軍だろうに、どうやってそこまで出来たのか、こっそり聞いてみたら


『この時代の病院セキュリティは甘い』


 とか言っていた。月面で窒息死した時の話とは別の意味でゾッとした。

 こいつがその気になれば、俺を闇に葬る事も、精神崩壊に追い込む事も可能なのだ。

 中学2年の時に、ほんの少しだけ反抗した事もあったのだが、一瞬で体が回転したかと思うと地面が目の前にあった。俺の左腕を極めて背中に乗る山崎に


『最初は左肩になるんだけど、何か言う事は?』


 と言われた。もちろん俺の返事は『ごめんなさい』である。

 あの日、山崎が前世の死に際の話をして以来、俺はこいつの下僕となっている。


「おおー、空いてるねぇ」


 俺が少しばかり過去を思い返している間に、自宅近所の公園に着いた。

隅っこの砂場では幼稚園児が母親連れで遊んでいるが、騒がしい小学生の姿もない。


「ベンチに座ろうよ。あ、あんたは左側ね」


 分かっているさ。この木製のベンチ、左側は半分朽ちていて座りづらいんだよね!

二人並んでベンチに座る。ただし、一人分くらい間を空けて。

 …この距離感が、『最近付き合い始めた青少年男女』らしく見えるみたいで、目撃者は俺達をカップルと思うらしい。ちがうのに。ぜんぜんちがうのに!


「…ねぇ、悟」


 少し首をかしげ、ちょっと甘ったるくも感じられる声で、彼女(彼女ではない)が言う。仕草だけを見れば可愛いなぁ。ほんと、見た目だけならば。


「あたし、お金が欲しいんだ」


………俺の意識は数秒くらい飛んだと思う。


 え?山崎こいつ今なんて言った?

 お金が欲しい?

 貸して、って言ってませんよね?

 欲しいっていったよね。あれ?カツアゲ???

 ばかな!こいつそこまで堕ちたのかよ!!!

 山崎は暴君で、俺をパシリに使うし、俺が反抗的な態度を取るとすぐ手足を出すし。

 やれと言った事は必ずやらせるし!!

 でも、でもな!俺から金を奪った事だけはなかった!

 買い出しだって自分の分は必ず金を出していた。

 こう見えても、こいつは社会正義ってものを、それなりに守るやつなんだ。

 むしろ正義のためには法の網を搔い潜るぐらいの事はするやつで。

 だから周りの人間からの受けもいいんだ。俺以外に対しては正義の人だから!

 人から金を奪い取るような事だけはしないと思ってたのに!信じてたのに!!

 くそぉ、こんな、こんな奴、俺の知ってる山崎じゃない!!

 いくらなんでも、こんな命令だけは…


「…いくら、なんでしょうか?」


 だめだ。やはり逆らえない。


「んー???」


 座高では頭一つ分ちかく低い山崎が、首をかしげて覗き見上げる。可愛い悪魔か!


「今、3千円くらいしかないんだけど…」


 彼女は顎に人差し指を当て、少し考える表情。足りないのかな。どきどきする。

 次の瞬間、ドスンという音。俺の脇腹に、彼女の拳が刺さっていた。


「ぐぇぇぇぇ」

「悟ぅ……あんた、私がカツアゲするとでも思ったわけ?んん??」


 しまった!違った!そうだよ。こいつはそんな事しない!!信じてました!鈍痛に腹を押さえつつ、かろうじて体勢を保つ。


「…すいません間違えました…冗談です…」

「真面目にやんなさいよ」




 ちょっとイラついた声。やべぇ。この後の選択肢を間違えると、左肩をはずしてはめ直すぐらいの仕置きはされる。(俺は右利きだから、右は勘弁してくれるのだ)そうだよな。ただの世間話的なやつだったか!宝くじ当たったら、お前何を買うー?みたいなやつ。


「…話の途中だったんですよね。…で、どのくらい『欲しいな』って思ってるわけ?」

「最低でも3億は欲しいかな。税金がかからないやつで」

 カツアゲと桁が違った。マジで宝くじ1等前後賞の話かな?


「なんか欲しいものがあんの?3億の買い物って何さ?」

「北海道に農場が欲しい。農場の経営者になって、農作物を相手に生活して、そして北の大地とともに生きて、そして終わりを迎えたいの。」

 …人生設計の話だったか。しかもなんか、心もち疲れた表情をしていらっしゃる。アレかな。前世の最期の瞬間が空気も水も無い月面だったから、母なる大地への渇望があるとか?


「…3億か。普通に会社員やってても、稼げないっぽいな。」

「出世がそれなりの会社員じゃ、生涯給金は1億から2憶の間。それも税金込みでね。つまり、定年を迎えるまで働いても、とうてい足りない。起業してお金を稼ぐのが現実的と思えるだろうけど、新規企業なんて博打もいいところ。あと日本は法人税が高すぎる。よっぽど稼がない限り、私財で3億なんて、若いうちには無理ってものよ…。あたしはね、できるだけ若いうちに、自分の農場が欲しいの!歳をとって体が動かなくなってから土地を手に入れてもしようがないの!早くお金が欲しいのよ!!可能な限り速やかに、可及的速やかに!!時は金なり!!」


 早く金が欲しいのは皆同じだろうよ。あと、最後のは違う意味だからな。


「じゃあ、株とか?ほら、なんか生きる伝説的なトレーダーは凄いっていうし」

「あんた馬鹿なの?伝説トレーダーに自分がなれると思うの?」


 …確かに一般人には無理だから【生きた伝説】なんだろうけど。でもさ、伝説トレーナー(職業としては謎の調教師である)になろうとして着の身着のままで旅に出る小学生も世の中には居るっていうし。


「あー、それなら芸能人とか?あれも博打だろうけど、トレーダーよりは現実的かも」

「う…うぅーん…それは…少しは考えたわ…」


 正直、こいつならば、かなりいい線いくような気はする。顔はいいし、スタイルはいいし、頭もいいし、トークもできるし運動神経だっていい。役者はともかく、アイドル路線かバラエティ系なら器用にこなせるんじゃなかろうか?


「考えたけど、何?」

「見た目のいい女芸能人なんて、枕営業が当たり前なんでしょ?不確実な金のために体を売るのは、ちょっと…。弄ばれて絶望の中で薬漬けになるくらいなら、ブラック企業で死ぬまで働いた方がまだマシっていうか」


 ストップストップ。

 それ芸能界にすんごく偏見が入ってるから。

 ぜんぶがそうじゃないはずだから。…確かに若手が食い物にされるイメージあるけど…


「じゃぁ何かアイデアが?」

「それよ。嫁に困ってる北海道の大農家の跡取り息子を籠絡するっていう手が、かなりいい手かなーと思ったりしたけど、大農だと嫁探しに結構いい伝手もあるかもだし、そもそもあたしは、北海道の農家の嫁になりたいんじゃなくて、自分が農場経営者になりたいのよねー。」

「ふんふん。結論としては?」

「甲子園に出場して、一躍時の人になる」


 なぜそういう結論になった。


「え?なんで甲子園?ナンデ?」

「現状の高野連規約では、女子選手の登録、出場はOKよね?実際、県大会レベルでは女子選手が参加している高校だってある。もっとも、『身体能力が男子に劣る』という理由で、各高校の野球部が、少数の例外を除いてほぼ採用していないだけで。…もっとも、その『身体能力』のためか、未だ【甲子園大会に、女子選手は出場していない】のが現実。甲子園大会に出場可能な高校の野球部では、女子選手を採用していない、って事よ」


 確かに。甲子園出場の常連高校ともなれば、部員数が100人超えなんてわりとある。当然ながら選りすぐりの精鋭がレギュラーになるわけで、その中に女子が入るのは至難だ。

 というか、そんな『名門』が、女子選手を受け付けているかどうかすら疑問だろう。


「つまり、山崎ならばレギュラーになれる。そして甲子園に出られるかも、って事か」

「ウチの野球部を鍛え直して精兵にする。命を賭して勝利をもぎ取る死兵に仕上げる」


 やばい事を言わないでください。


「…まぁ、夏の大会の本戦に出場できたとして…それが3億の金とどう結びつくわけ?」

「一躍注目の選手となり、マスコミを煽り、あたしは初のプロ野球女子選手となる」


 ―――――そうきたか。プロの契約金と契約年棒が目的ときたか。

 確かに野球は山崎 桜の得意スキルだ。無名ではあるが、俺はそれを知っている。


「…そう、うまくいくかなぁ?」

「どんな世界でも、『最初の一人』は大注目を浴びて伝説になる可能性が大きい。未だかつて、プロ野球での女子選手は存在しない。…もちろん女子リーグは別としてね。つまり、この現状はチャンスであり、やるなら今しかない。プロはショースポーツ。人目を引き、客を呼び込めるスター選手、客寄せパンダは喉から手が出るほど欲しいはず。今なら……いける!!!」


 説得力はある。しかし確実性は無い。それはどんな世界でも同じかもしれないけど。


「…まぁ、うまくいけば御の字、ってやつか」

「そーいう事よ。別に野球にかまけて勉強を放ったらかしにするつもりもないし、悟だって、あたしが勉強そこそこできるのは知ってるでしょ?大当たりすれば野球で一発稼いで、稼いだ後は適当にお茶を濁して引退すればいいだけだし、話題だけ作ってプロになれなかったら、普通に大学進学して就職すればいいだけだしねー。あたしにとっては、何の痛みもないわけよ。」


 確かに。こいつの能力ならば、それは可能だ。


「ちなみに、他の部員は?」

「あんたを含めて、野球に高校生活の全てを捧げてもらう。成績は定期テストで赤点さえ取らなきゃいいわ。卒業だけできればいいでしょ?」


 やっぱりこいつは外道なところがあるな。知ってたけど。暴君め。


 そして野球部の新入部員歓迎オリエンテーションで、山崎 桜はぶちかまし、野球部を制圧した。己の野望のためだけに。そしてもちろん俺は、その尖兵として組み込まれた。

 まぁ、野球は好きだし、甲子園出場ともなれば高校生活の思い出としては大きい。プロになれるとは到底思えないが、幼馴染の野望にそこそこ付き合うのも、いいかと思った訳ですよ。


 そして弘前高校野球部は、野球部創設以来、初の「夏の全国高校野球選手権大会本戦出場」を目標として、起動したのだった。


 新入部員、俺と山崎を含めて4人。

 2年生部員、4人。

 3年生部員、4人。うち女子部員1名で、マネージャー業務のみ。


 選手の合計11人。ピッチャーのローテーションを考えるとギリギリのギリ。文句のつけようもない弱小野球部である!!この構成で甲子園に出場できたら、それだけで話題だわ!!!


「…人材が人数的にヤバすぎるんだけど。本当にできんの?」

「怪我するやつは、あたしが殺す。精神的に。だから怪我しないように強くなれ。命令よ」


 さーいえっさー。

 俺達はそう言う他は無い。高校生活の夢を手にするか、廃人になるか。

 もはや選択肢はそれだけしか無かった。


 規定人数不足で春の県大会にも出場登録できなかった、県立弘前高校野球部。

 この弱小野球部が、この夏の全国高校野球選手権大会、県予選大会に嵐を巻き起こす。




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