その宝石の色、白か黒かに決めつけたくて。

とある国で、不思議で厄介な宝石が見つかりました。なぜその宝石が不思議で厄介なのかというと、それは謎の性質を持っているからです。その性質とは、“見た者に「これは偽物である」と思い込ませる”というものです。おかげで学者たちは、この宝石は本物なのか偽物なのかで論争に発展してしまいました。ですがそんなのも束の間、世間の関心が薄れていくに連れて、論争も収束に近づいていきました。しかしそんな中で、なんともう一つこの宝石が見つかったのです。するとたちまち世間の関心は最高潮に高まり、「どちらの宝石が本物なのか」を争点に論争が再び巻き起こりました。どちらの宝石が本物で、どちらの宝石が偽物なのか。人々は、白黒付けたがりました。


学者の中の誰も、「どちらも本物なのでは?」と言う人は居ませんでした。

世間の中の誰も、「どうしてこの宝石にそんな性質があると分かったんだ?」と気付く人は居ませんでした。




これは、寓話。


どうでもいい事で争い自分の考えを振りかざし戦う人達と、

大切な部分に目を向けず、表面だけ見てはやし立てる様な人達へ向けた、




寓話。

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