第1戦 ようこそFight Gunsの世界へ

『あぁ.....つっ、つめたいっ』


そこには、雪が積もっていた。

空からは足の親指の爪くらいの雪が燦々と降り注いでいた。


『な、なんだ?ここは..』


仰向けに寝ている姿勢で、目が覚めた。

するとすぐに、頭の方向からザクザクと、雪の地面を駆ける足音がした。

その人はすぐ自分の視界に入ってきてこう言った。


『おい、いつまで寝てんだ。

まだ戦いは終わってないぞ。』


彼の頭の上には何か、空中に浮かんだ、名前?が書いてあるものがあった。


「yuta0216」とな。


それに、 戦い?なんのことだ。

俺はさっきパソコンでゲームを...

あれ?この人、軍服を着ている。

左の二の腕には赤い腕章を付けている。

彼は不思議なものを見る目で俺を見つめた後、視界の果てへ走って行った。

そういえば、右手に何か重いものを感じる。

身を起こし、その右手を見てみると、そこには実銃、ベレッタがある。


ベレッタがある


『え?』


状況がまったくもって把握できない。

何故銃があって、雪が降っていて、

軍服を着て...声が低くなっていて....


謎は深まるばかり。

だが、何か見たことあるような光景。


『あ、ファイト..ガンズ...?』


俺は頭がおかしくなって幻覚を見ていて...と言う仮説よりも、FPSゲーム、

Fight Guns の世界へ来た説を立てた。

そう考えれば考えるほど共通点が見つかる。

まず、装弾数15発のハンドガン。

軍服、雪の降っているフィールド、飛び交う弾丸などなど。


『と言うことは、俺はさっきの続きを...やっている..!?』


さっきの続き。

それはパソコンを開いて、お知らせを見て、マッチングして、キルされて、

何か、選択画面が出てきて、目眩がして...

あ。

お知らせのテスト実施中とはまさに、

この事だったと言うのか。

そう。実際そうだったのだ。

つまりはリアルに体験するFPSゲーム


新「Fight Guns」


の開幕だったのだ。


—ババババ...


まずい!

俺はFPSゲームの達人と言ってもいいほどのウデはある。

実際大会で優勝したことはあるし、

勝率は90%と驚愕な数字だ。


—バババァン!


頭の回転よりも体が先に動いた。

状況はなんとな〜く把握したものの、

俺はサバゲーの体験はおろか、エアガンすら持ったことはない。

ガキの頃駄菓子屋の輪ゴム鉄砲以来、銃のようなおもちゃは持っていない。

とにかく今は逃げなければ。

動いた体は気づいた頃には走る体勢になっており、フィールド内にいくつか設置されている建物の中はまっしぐら、ドアを勢いよく蹴破った。


「まじかよ...でも何故?」


木造の建物の壁にもたれかかり、

滑るように床へ腰をつけた。

頭に浮かんだ疑問は、

途中、キルされるまでは普通にパソコンで操作をしていた。

なのに何故キルされた途端こうなったのか、ということ。

答えを求めるように辺りを見回して、右手に持った銃を見た。


「こ、...こいつを使えってのか..」


今更気づいたのだが、俺の手はプルプルと、生まれたばかりの子鹿の如く震えていた。

考えごとが出来る空間を手に入れてからも、やはり全く安心はできない。

その時。


—ドガァン!


向こう側のドアが強引に破られたような音がした。

長年のゲームプレイで手に入れた勘でわかる。

息を殺さなければあちら側に気づかれ、


殺される。


すたすたと忍び寄る足音には、

敵を殺すために来た。

そんな殺意以外に何も感じられないほどに容赦なく迫ってきていた。

この部屋は向こう側のドアからもう一つドアを開ける必要があり、さっき開けられたのは玄関と呼べるドアだ。

手持ちのベレッタでドアに照準を合わせる。

徐々に足音も大きくなり、ついにドアの向こうまで来たようだ。

トリガーに当てた人差し指に力を入れる。


—ウィィイン


ドアが開いた。

まだ5センチも開いていないためあちらは俺に気づいていないようだ。

緊張の瞬間、6センチ、7センチ...

ゆっくりとドアが開けられる。

10センチ、敵と目が合う。


—パァン!


あれ?トリガーを引くほど今、力を入れただろうか。

あれ?少しずつ視界がせまくなってくる。

おかしい、

やがて膝をついた床には、ぽたぽた音をたてながら、血がしたたっている。


血がしたたっている


そうか。俺は撃たれたのか。

じんじんと、胸の辺りが痛くなる。


「うっ...」


—パァン!


もう一度鳴り響く、その音を聞いた時にはもう、

意識はなかった。


—————————————————


第1戦あとがき


どうも、ごはんですと申します。

最近雨が多くて少し困りますね...

ということで、あとがきです。

ちなみにこの物語の○話は○戦と表記します。

さて、今回はこの物語の主人公、

「船野 弘」ふなのひろし

について、part1です。

このキャラクター名の由来は、

第二次世界大戦で活躍した伝説の日本軍兵、

「船坂 弘」ふなさかひろし

に由来します。

このストーリーはFPSゲームですので、丁度いいかな〜なんて思って思いつきでつけられた名前です。


では、この度はこの辺で筆を置かせていただきます。


ごはんです



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Limited・Wars ごはんです @gohandesu

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