Limited・Wars

ごはんです

プロローグ

「チッ、今月も手取り18万か...」


6月25日、我ら下等サラリーマンのお給料日だ。

他の会社の平均月給は20万代らしいから、うちの会社はブラックとは言わずともグレー企業と言えるだろう。

トボトボとガラス張りの自動ドアを通り抜ける。


「まぁ、今月はキビしいからみんな、我慢してねぇ〜」


ハゲ社長の言葉が脳裏によみがえる。


「なんで俺はあん時断らなかったんだろうか..」


2年前、大学を卒業した俺は、高校時代の先輩に誘われてこの会社に入った。

その先輩というのはガラがあまり良くない方の人間で、あまり信用していなかった。

通りで面接が10分足らずで終わった訳だ。

その後先輩に文句をつけると、社長が


「誰でもいいから誘ってこい」


と言っていたらしい。

まったく、俺は本当に損をした気分だ。

いや、実際損しているのだろう。

自分で言うのもなんだが、俺は結構頭が良い方で、就こうと思えば大手の企業でも務めていた自信がある。

それなのに...


「それなのにぃ...」


暗い帰り路はとっくに、終電を過ぎていた。


「なんでだよぉ...」


6月25日 日曜日 0時55分


ぷしゅ

エナジードリンク、ゲーミングPC。


「今日は徹夜でゲームだぁあ!」


伸びをしながら叫んだ。

この会社は給料こそ安いものの休みはしっかり週一である。

今の時刻はもう3時前なので日曜日。


「今日は昼頃に寝よう。」


給料日なので今日は課金もできるし、休みの日だし。

一ヶ月で一番幸せな時間。それは

FPSゲームをすることだ。


「テスト実施中?」


お知らせの欄にはテスト実施中とデカデカと書かれていた。

まぁアップデートかなんかのだろう。

そう思って無視をした。


—————————————————

「よっしゃナイスっ!」


—バァン


放った弾は軍服に青い腕章を付けた男の頭に命中した。

モードはチームデスマッチ。

二手のチームに分かれて戦い、キル数が多いチームの勝ちだ。


『流れは順調。リードしている。』


軍服に赤い腕章をつけた黒人のキャラクターが野太い声で言う。

このアバターは屈強な身体で、ほかのアバダーに比べHP(ヒットポイント)が高く、打たれ強い特性をもつ。


—バチュ

鈍いこの音は自分が撃たれた時の音。


「まずいっ、撃たれた!」


急いで物陰に隠れる。

弾が当たったところは幸い、急所ではなく足のあたりだったので、HPの消費は最小限に抑えられた。


—ガチャガチャ


『リロードする』


さきほどの戦いで弾を消費した。

実際は15発中1発しか消費していなかったため、この状態では十分戦えるのだが、すぐリロードしてしまうのは俺の癖だ。


—バチュチュチュチュッ


『うっ...』


敵はリロードを狙って間合いを詰め、とっくに近くに来たらしい。

よって俺のアバターは死亡した。


—コンティニュー—



—はい

—いいえ


「あれ?こんな画面あったか?FPSは大体こんな画面はないはず...」


もちろん俺は「はい」を選ぶ。

そりゃもちろんまだ時間はあるし。


—本当にしますか?—



— はい

—いいえ


「??」


この画面が出てくるのは普通データを消すとか重要な選択をする時だけじゃないのか?

怖くなってきた俺は恐るおそる

「はい」を選ぶ。

その瞬間、目眩がした。


—————————————————

プロローグあとがき


どうも、ごはんですと申します。

今回は初めて小説を書かせていただきました。

はじめての物語がアクションものなので、ハードル高いなぁ...

と感じていましたが、書いてるうちに楽しくなってきました!

なんてどうでもいい事を書きましたが、今回のあとがきはタイトルの由来について。です

「Limited」とは、イギリスで会社と言う意味です。冒頭で船野はグレー企業に勤めているので、

「Wars」戦い。辛い会社と戦っていると言う事です。

また、このWarsについては、FPSで戦うと言う意味も込められております。


最後まで読んでいただき、誠に有難うございます!

是非これからも宜しくお願いします。










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