16歳 高校生 女

高校生になるからと、親に買ってもらった新しいケータイ。


連絡先に入っているのは、家族と仲の良い友人達。



それと、最近加わった想いを寄せるあの人。



『ポロン』



どうしてなんだろう。


あの人からのメールの通知音は、こんなに心踊るんだろう?



《課題進んでる?》



これも、どうしてなのか。


あの人からのメールというだけで、文字がきらきらして見える。


ありふれた文章なのに。




他の人とは全く違う。


文字1つ1つが、愛おしいような、大切な宝物のような、不思議な気持ちになる。




学校では、とても恥ずかしくて、何も話しかけられない。


遠くから見ているだけ。



メールではたくさん話ができた。


あの人の事をたくさん知ったし、私の事もたくさん知ってもらえた。



昔からの友達みたいに、気軽に話すことができた。



だからこそ、この時間は大切なのかもしれないと思う。



顔を見て話せるようになったら、メールする事もなくなるのかな?


それはそれで、寂しいな。



《今やってるところだよ》


時間をかけて考えた割には、なんとも普通な文章になってしまった。



メールを送れば、用事がない限りはすぐに返信をくれるあの人。


あの人も、私との時間を楽しんでいてくれているだろうか。


それとも、私の他にも誰かとメールしていて、ついでに返信しているだけなのかな?


そんな悲しい事はない。



『ポロン』


あの人用に設定した通知音が鳴る。



《俺も。良かったら分からないところがあるので、教えてくれませんか…電話で。》



一気に、ケータイを持っている手に、汗が集まっていくのがわかった。




そうか。


そうだった。



ケータイって、メールだけじゃなかった。



電話も使えたんだった。





震える指と、止まりそうな心臓を頑張って動かして、ひとまず返信してみた。



《わたしがわかるところなら!》


うん。


なんとも普通の文だ。

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青春をテーマに 兵頭 七日 @snk7

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