その後の桃太郎
紫 李鳥
その後の桃太郎
悪い鬼を退治して
【桃太郎さ~ん、お帰り~♪】
の
「桃太郎さん、どんな鬼を倒したの?」
幼なじみの女の子が尋ねた。
「
「わぁー、スゴ~。一人で倒したの?」
「んにゃあ。犬と猿と
「じゃ、桃太郎さんはどこから攻撃したの?」
「えっ? ……決まってるじゃねぇか、
「うまいっ! 座布団一枚」
そんな光景を見ながら、おじいさんとおばあさんは顔をほころばせた。
「立派な息子を持って、わしらも鼻が高いわい。なあ、ばあさん」
「ほんとですね、じいさん。こんなに立派に育ってくれて、親孝行な息子です」
「じいちゃんもばあちゃんも、あんまりポメラニアン。照れるジャンヌダルク」
「……ちと、
おじいさんは、桃太郎の駄洒落を嘆きながらも、その勇姿に
一躍時の人となった桃太郎は、近所の人気者だけに留まらず、日本全国にその名を
間もなく、
〔桃太郎さま、お帰りあそばせ。鬼を退治されたご
お鶴(仮名)/18歳〕
〔桃さん、やるじゃん。どんな鬼だった? おいらも、
坂田金時(幼名:金太郎)/21歳〕
〔桃太郎殿、無事にご帰還されたとの事、何よりでござる。
一寸法師/20歳〕
〔桃太郎さ~ん、素敵っ♪モモッチって呼んでいい? モモッチは桃から生まれたんでしょ? あたいは竹から生まれたのよ。よろしく~
かぐや姫/17歳〕
それから10年の月日が流れた。
何度か恋愛を経験した桃太郎は、ついに
「じいちゃん、ばあちゃん。嫁さんゲットしちゃった」
「おこわと申します。よろしゅうお頼み申しまする」
おこわは
それからまた10年の月日が流れた。
「ちょっと、あんた! 何よ、このかぐや姫ってふざけた名前のガキ。モモッチって呼んでいい? だって。なんでこんな古い手紙、いつまでも持ってんのよっ!」
「……昔の栄光よ、
「何が昔の栄光よ永久だよ! 十和田湖みたいな顔して」
あのお淑やかだったおこわは、この10年で
「と、十和田湖って、どんな顔だよ?」
「あんたみたいな二重カルデラ顔よっ!」
「…………?」
鬼のような
「おー! こわ~」
おこわは、その名のとおり怖かった。
鬼を退治した当時の勇ましさは
完
その後の桃太郎 紫 李鳥 @shiritori
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