すみれ野に寝ばや路銀のつきるとき

【読み】

 すみれのにねばやろぎんのつきるとき


【季語】

 すみれ(菫)(仲春)


【語釈】

 路銀――旅行の費用。旅費。[大辞林 第三版]


【大意】

 すみれの咲く野に寝て夜を明かそう。路銀の尽きたその暁には。


【附記】

 山辺赤人(生没年不詳)の歌などによる。松尾芭蕉が「なにやらゆかし」と言うまでは、赤人のすみれの歌が特に有名だったと見える。


 人生は旅にも喩えられる。旅であれば、資金が底を尽くなどのトラブルが生じればその時に何なりと対処すればいいとの楽観的な気分がある。それも厳しい冬が過ぎたからこそと言えよう。


【例歌】

 春の野にすみれ摘みにとしわれそ野をなつかしみ一夜寝にける 山部赤人


【例句】

 山路来て何やらゆかしすみれ草 芭蕉


 いづくにかたふれ臥とも萩の原 曽良そら

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