春の雪青き瞳に映りけり

【読み】

 はるのゆきあをきひとみにうつりけり


【季語】

 春の雪(三春)


【大意】

 春の雪が青い瞳に映るのであった。


【附記】

 異国趣味の句である。


【例歌】

 わかなつむころもでぬれてかたをかのあしたのはらにあはゆきぞふる 源実朝


【例句】

 春の雪杉菜ちいさき入日かな 一笑いっしょう

 春雪や近江かぶらの見えぬ程 李由りゆう

 傘にふり下駄に消けり春の雪 也有やゆう

 しばらくは鳥なき里や春の雪 涼袋りょうたい

 都辺や小袖に消ゆる春の雪 闌更らんこう

 春の雪しきりに降て止にけり 白雄しらお

 紫の袖にちりけり春の雪 一茶

 日のたけてさらさら降や春の雪 卓池たくち

 椽借りて袴たたむや春の雪 井月せいげつ

 南天に寸の重みや春の雪 夏目漱石

 寺町や椿の花に春の雪 同

 下町は雨になりけり春の雪 正岡子規


 水くさき空や淡雪朧月 支考しこう

 淡雪や麦三寸の葉のきほひ 二柳じりゅう

 淡雪に月も二日のあはれなり 内藤鳴雪

 梅はあれど淡雪ちるや竹の上 尾崎紅葉

 淡雪や氷あとなきうみの上 河東碧梧桐

 淡雪や通ひ路細き猫の恋 寺田寅彦

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