第45話 形無千の修行

と、3人は特訓を始めたワケだが。


俺はその間サボっているわけでは決してない。

やることは…まぁ大きく分けて3つある。

1つ目は葵の探索。

これに関しては、俺が直接やるのではなく軍にお願いして行ってもらう要項だ。1番手取り早い。…個人的なお願いだが業務の片手間でいいのでと顔見知りにお願いするつもりだ。

2つ目は装備の調達。

あいつらの分は勿論だが、俺が現役時代使っていた(今も在籍は一応残っているが…いや多分残ってないな。でも鷲野大尉が俺のことを元って呼んでないことが疑問)特殊任務部隊専用の装備を使う。それだけ本気っていうことと、相手の戦力がわからない以上万全の準備はしていきたい。性能はおいおい話すとしよう。

3つ目…これが1番難しいというか…やり方がそもそもわからないのだが、とにかく3つ目は『自分』との対話だ。

学校での一件以来心の中でだが話しかけてくるようになった。…心の中で話しかけられるという奇妙な体験はちょっと…どころかだいぶ気持ち悪い。

『気持チ悪イトハ酷ェジャネェカ。一緒ニ戦場ヲ潜リ抜ケタ仲ナノニヨォ…』

ケタケタと笑う声が聞こえた。

(…よぉ。やけに喋りかけてくるじゃねぇか。)

『ゴ主人様ガ俺ト喋リテェトカ思ッテクレタカラヨ、出テキテヤッタンダヨ』

そこまで筒抜けなのか…。心まで油断ならないってのはちょっと精神的に辛いな…。

(あぁ。そうだ。お前には聞きたいことが山ほどある。だからちょっくら話そうぜ。)

またケタケタと笑う。

『聞キテェトキタカ!!!自分ニ向カッテ!!コリャ傑作ダガァ…ソンナ寄リ添ッテ大丈夫カナァ?』

(何を言って…)

そこで俺の意識は切れた。












目が覚めた場所は演習施設だった。

ここは魔術の練習や新兵器の試しが行われる場所で、学校にあった演習場のなんかもっとすごいバージョンと思ってくれていい。

…じゃなくて。なぜ俺はここにいるのか。そしてなぜ拘束されているのか。

「形無特長、聞こえますか。」

ガラス越しの司令室からマイクを使って俺に呼びかけた。

「…はい。聞こえてますが…なぜ自分はここに?」

「形無特長が急に暴れ出したからですよ。いやぁ死者や重傷者はでかなったですが、軍自体の設備がボロボロになってしまって…。煜翔寺元帥もお怒りでしたよ。」

ははー。笑えない。全然。

というかあの人元帥になってたんだ。すげぇな。

ではなく。

なんで俺が暴れてたんだ?

『チョットダケ俺サマガイタズラシタカラダゼ』

また声が聞こえる。

(なぜ乗っ取られたんだ…?今回は第0式魔術も使っていないのに…。)

『ハーッハハッハッ!!!!今ハ繋ガリガ前ト違ッテ強クナッテンダゼ?隙ヲ見ツケタ瞬間、少シダケダガ乗ットルコトガデキタゼ!!』

終始神経を逆撫でするような笑いを含んだ口調で話す。

そうか…。俺が譲歩的に話をしようとしたからやられたのか。前より繋がりが強くなっている…そうか。俺の修行内容が決まったな。

「とにかく、落ち着いたなら拘束を解きますね。そしてー…」

「いや、このままで大丈夫です。場所も…ここの演習施設をしばらくの間貸し切りにさせてもらえませんか?」

ガラス越しに驚いた顔をする…多分下士官。

「それはおそらく構いませんが…何をなさるのですか?」

「いや…ちょっと修行をね。できれば定時刻に食料等を部屋に入れてください。ですがあまり自分に近づきすぎないよう注意を。」

それだけを言い、俺は拘束されたまま横になった。


(さて、殺り合おうか形無千。お前を手懐けてやるよ。)

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新人魔術教師が落ちこぼれの皆さんに人の殺し方を教えます。 ろぐ。 @Rogu

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