天邪鬼は恋をしたい!
@Rui-S
五千円札
私は今、今まで生きてきた十六年間の中で最大レベルで慌てている。
(ど、どうしよう…今日は登校初日なのに、
「えっと、お母さんに電話しても届けてもらう時間で電車に乗り過ごしちゃうし…」
そんな事を言いながら改札近くをウロウロしてたら突然後ろから五千円札が伸びてきた。
「困ってるなら、どうぞ」
前髪が長くて顔は良く見えなかったが、同じ学校の制服を着たメガネの男の子だった。
「ありがとうございます!」
急いでいた私は、なんの
(ふぅ、なんとか間に合った。明日、五千円を返さなきゃ)
初日の教室は静まり返り、緊張した空気が張り巡らせていた。
そんな緊張をぶった斬るかの如く、陽気な声をした先生が教室に入ってきた。
「このクラスの担任になりましたぁ、
第一印象は正直に言って、こんなんで担任務まるのか?だった。
「え、思ってた人とちょっと違う」
「山本樹って名前だからもっと怖いのイメージしてたわ」
こんな感じにクラスがザワついた。
まぁ、突然あんな紹介をされたらザワつくだろう。
「今日は軽くクラスメイトと親睦を図ろうってな日だから、10分後に自己紹介始めるからなぁ〜」
予想はしてた。
「出席番号一番、
普通だ!
「ども〜、二番の
突然の彼女募集…
「えっと、三番の
緊張するよねぇ〜、うんうん。
とか思いながら他人の自己紹介を聞いていたら遂に自分の番になってた。
「……。あ、私か!」
(初っ端から恥ずかしい)
「出席番号二十九番、
その後も出席番号四十二番まで自己紹介があった。
このクラスには、駅で五千円をくれた男の子はいないようだった。
(この学校の制服着てたし、学校でそのうち会えるよね?会わないとお金返せないし…)
そんな私の考えは甘かったと思い知らされるのは、学校が終わり下校し始めた時だった。
天邪鬼は恋をしたい! @Rui-S
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