第4話 宇宙の父の良いところ

謎だらけの宇宙の父だが、仕事だけは一生懸命やっていた。


サボったり、休んだのを一度だって見たことがない。


自営業で父と母は小さなトラックで運送業をやっていた。


昔はお金がなかった時期があったと言っていた。


しかし、高度成長期時代が味方をしてくれて少しばかりではあるが今は楽な生活をしている。


晩酌のときにはよく、時代が味方してくれたと言いながら、濃いめの焼酎をトクトクとグラスに注ぐのが定番である。


この話になると一杯増えて、聞いてるのか!とからむものだからタチが悪い。


4人の子供を頑張って育てあげ、そして一生懸命働いた事はとっても素晴らしいことである。


おかげで、僕らは何の不自由もなく成長したのだから。


宇宙の父は謎だが、その部分だけは素晴らしいと思う。


しかし、仕事ばかりになってお金、お金になり、その分家庭がおろそかになった。


いや、お金ばかりになり、仕事、仕事だったのかも知れない。


子供達にとってはあまり愛情を受ける暇はなかったと言える。


中でも一番苦労したのは母だ。


家業、家事、育児と全てを一人でこなす昭和の母。


これもまた素晴らしい。


生活が楽になってからも、お金がない時代を味わったせいなのか、我が家は車も買わずに質素な暮らしをしていた。


お金を失う怖さがあったのかもしれない。


そういう時代を生きてきたせいか、宇宙の父は大のケチである。


ケチ星人。


お金に関することになると非常にケチになるのである。


僕が子供の頃、僕の誕生日に焼肉屋さんに行った時の出来事である。


僕は食べ盛り。


初めてレバ刺しを注文した。


あのトロリとした食感が、信じられないくらい美味しくて…。


焼肉屋さんで、僕はレバ刺しを1人前ペロリ、2人前ペロリ、そして3皿目を食べたいとと宇宙の父に行った時に


「ちっ!ちっ!」


と舌打ちされた。


僕は全く意味がわからなかったが、多分高いレバ刺しを3皿も食べてお金がかかると思ったのだろう。


なんかいけないのかなぁ~と子供ながらに考えるのである。


私も空気を読める子供ではなかったので、まぁ、気にせず食べてしまいましたけどね。


最初は好きなもの食べろと言っておきながら食べたら、、、


「ちっ!ちっ!」


と言われるのはちょっといかがなものなのだろうか。


子供ながらに少しは傷つくのである。


しかも、誕生日なのにケーキやロウソクもなく、父の独断と偏見で焼肉屋なのだから、そのくらい、いいじゃないかよ!


70歳を過ぎた今でも宇宙の父は今もなおずっとケチである。


それは変わらない。


お金はあの世に持っていけないので、人のために役に立つこと、今までお世話になった人のためにお金を使ってほしいものである。


そんなケチの宇宙の父もオレオレ詐欺に引っかかりそうになった時がある。


息子だと信じきっていたのにもかかわらず、大のケチが故に絶対貸さなかったので、難を逃れてたのである。


お金に執着しすぎている人が、いとも簡単にオレオレ詐欺とは。


息子だと他人よりも余計にケチになるとは。。。


大のケチなおかげで完全には引っかからなかった。


ん?ケチの方が良いのか。。。


人を信用するのが難しい時代にはなった気がする。


結局、僕はお金の面についてもやっぱり宇宙の父には似たくないのである。


お金の為なら人を切り捨てる父なので、なぜ少しばかりだか財を成したのか、さっぱり謎である。


人徳よりお金なのである。


お金は裏切らない。人は裏切る。


そういう経験をしてきたのだろう。


お金って意外とそういう人のところに集まってきたりするものなのかも知れない。


これはこの世の謎である。


でも、仕事は一生懸命していたから多分神様が頑張った分だけ、お金をくれたのでしょう。


そう思いたい僕です。


でも宇宙の父には似たくない。。。

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僕の父は宇宙人 パニ @pani-san

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