戦国のパリピな生活・汁講

 皆さま、戦国期といえば、どんなイメージをお持ちでしょうか。暗くて貧しく殺伐とした生活。下剋上の末法の世。


しかし、そこに住むのは、私たちと同じ人間で、そこには変わらぬ喜怒哀楽を持った人々の、それなりの日常生活があった訳です。


戦国期は社交生活が、重要視された時代でもありました。

家臣団との関係が、非常にゆるい時代でしたので、何かとイベントを催して、交流を深めました。


今回は、当時の楽しいイベントの一つをご紹介します。


 手前味噌という言葉がありますが、戦国時代の味噌は当然、自家製の手前味噌でした。

煮物や焼き物、或いは漬物などの調味料に使われた他に、様々な戦国ならではのレシピもありました。

板や葉に貼り付けた味噌を弱火で焼く焼味噌は、現代でも朴葉味噌のような形がありますね。戦国期には、こうして焼いた味噌を兵粮として持ち運びました。

蜜や甘蔓、干した野菜や木ノ実などと混ぜ込んで作る味噌玉。

これは、別名兵粮玉と呼ばれる軍場での食べ物でした。家々で独自のレシピがあったそうです。

芋の茎を味噌汁で煮込み、干して編んで作る芋がら縄は、荷物をくくり、戦さ場に持っていき、それを切って、湯に入れて戻して食べていました。


また、出陣前に食べる湯漬けは、味噌汁をかけたものではないかと言われています。


味噌は、このように戦とも関係の深い食べ物でした。



そんな生活必需品の味噌ですから、戦国期において大人気の「汁講」というイベントになっていました。


お呼ばれした人々は、炊いた米を持っていきます。

そうすると、ホストは熱々の味噌汁の入った大きな大きな鍋を、座の中央に置き、皆、その汁をてんでにかけて、汁かけご飯を楽しみながら、様々な話に打ち興じたそうです。


なんだか、武将たちが家臣を集めて、汁講をしている姿が目に浮かびませんか?


或いは長屋で、足軽頭が部下の足軽や小者を集めて、みんなで汁かけご飯を啜り、漬物をバリバリ齧りながら、四方山話をしていたでしょう。


素朴で、楽しそうなイベントですね。

「戦国パーティー」として、如何ですか?



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