城の主郭以外はどうなっている?
城郭は、まず主郭が城郭内の最奥にあります。戦国期に於いては、主郭は本丸、実城、本城と呼ばれる一番大切な場所でした。
ここを取られるとお終いなので、攻めにくいように工夫を凝らしています。
籠城戦になった時には、ここの部分は
山城の場合、山の天辺に詰城があり、その麓に、城主の居館である館城がある場合があります。普段は麓の屋敷で過ごしており、いざ戦となれば、山の上に上がるという形で、結構よくある形式だったようです。
小牧山城も麓近くの大きな一枚岩の上に、信長公の館城があったのではと言われています。
【二郭、二曲輪】
さて、
ですので、戦国期に於いては、主郭と同じか、場合によってはそれよりも広く取られている例もあります。
そこには、城主の隠居した親の屋敷が置かれることもあります。
また、子供たちや自城を持たない兄弟など近親者の屋敷や、家臣の屋敷、倉、庭園などが有ります。
家臣の屋敷は、江戸期が近づくと宿老、或いは家老の屋敷だったようですが、まだピラミッド型の権力体制になっていなかった戦国期では、小姓、取次を兼任する馬廻、祐筆、御伽衆などの常に殿の側にいる「お身内衆」と呼ばれる方々の屋敷がありました。
または、一門(親戚)の結束が固ければ、連枝、一門の屋敷がある事もあったようです。
それぞれの屋敷は、城主の屋敷に準じた形式の建物で、その屋敷の使用人たちも住んでいました。
信長公に仕えていた「お身内衆」は、基本的に次男以下で本人の城がない人が多いことと、信長公の方針で家族共々こうした拝領屋敷に住んだようです。
しかし、宿老や武将、馬廻の中には家族は自分の領地に残していた人々も少なくありませんでした。
また、客をもてなすためではなく、城主の寛ぎの散策をする庭園などが有り、二の
江戸時代が近づき、豊臣支配の十五年から戦が減ってくると、城本来の意味が失われていきます。
主郭の主殿、会所が国を護るための社交の場から、形式的なものとなり、美麗で壮大な物になってくると、城主は居心地の良い二の丸御殿へ居館を移す傾向が出てきたようで、そうなると家臣団の屋敷は次の三の丸へと移って行ったそうです。
その為、江戸期に造られた城の二の丸は、庭園も素晴らしく、現在でも私達の目を楽しませてくれています。
【三郭、三曲輪】
籠城戦の場合、前衛にあたる場所になりました。その為、攻められにくく、守りやすい工夫が見られる場所でもあります。
戦国期には、ここにはお身内衆以外の身分のある家臣の屋敷が建てられましたが、この三郭に主君の屋敷が置かれた例もあります。
役所のような施設もあったといいます。
【別郭、別曲輪】
東西南北の名前が付けられる郭です。
数が冠せられる郭は普通「三」までになり、その他は主郭から見た方角で、名前が付けられます。
主郭から見て西にある郭は、西郭(西曲輪)あるいは、西出郭と呼ばれます。特に西郭には、主人にとって重要な人物が居住することが多いようで、伏見城の西ノ丸は淀の方、大阪城では北政所が入りました。
位置的に主郭の
戦闘が無くなる江戸期に至ると、この場所はご隠居の館の定位置になったそうです。
【帯郭、帯曲輪。腰郭、腰曲輪】
大きな郭の側に、一段下がった細長い小さな平地のことを腰郭、腰郭より長めの平地を帯郭と呼びます。山城の場合、郭の縁を斜面のままにしておくのではなく、ストンとした切り壁にして置いた方が防備力が上がります。すると自然に平地ができます。この平地から斜面を登ってくる敵を攻撃するといい感じです。
これが元々の腰郭の成り立ちで、この腰郭を細く歩ける程度の細さにしたものが「犬走り」と呼ばれます。
また大きい堀や堀を二重にしたなどの場合、二つの郭を繋ぐ為に作られた帯郭もあります。
帯郭や腰郭には、戦闘時に兵士たちが使う建物が建っています。
【
水郭とも呼ばれる、城内の飲料水を賄う施設の置かれた郭です。築城をする時には水源を確保します。井戸は勿論ですが、川や池などを湧き水を利用する他、雨水を貯めた貯水池も設けられたようです。
水の確保はかなり神経を使ったようで、土塁や石垣を組み、堀を廻して防備しました。また、河川、湖、池などから水を取り入れる場合は、下部から水を汲み、上部は櫓として監視をする井楼を組みました。
主郭などには、これとは別に井戸が掘られています。
この他に、その城独自の名前のついた郭もあり、特に秀吉が趣味の郭「山里曲輪」を作って以来、侘び寂びの趣を持った曲輪を作る大名が増えました。安土城にもこの「山里曲輪」のようなものがあったとされており、千利休のプロデュース力が偲ばれます。
これらの外にいわゆる城下町が広がり、その向こうに外壁があったということになります。
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