戦国期の衣
戦国期の下着
現代で「肌襦袢」「長襦袢」と言いますが、実はこの「襦袢」というのはポルトガル語です。
ジョバンとかジュョベェンとか……何とも難しい音のそれは、袖のないベストのような下着だったそうです。
この「襦袢」という言葉が定着したのは、江戸時代初期と言われています。
ですから、戦国期の小説では、天下が豊臣家から徳川家に移行する頃くらいからの使用が望ましいかも知れませんね。
飛鳥時代あたりから、
寝間着もこれですね。
そして暑い夏は肌着はなしです。
庶民は麻や葛、楮などの植物で織った小袖(というのか普段の小袖を重ねただけ)を着ていました。
永生年間(1504〜1520)三河で国内栽培が成功し、綿織物の生産が始まりました。
しかし十分とはいえずまだまだ高級品でしたし、衣料よりも軍事品への使用がメインでした。
ですから、余程の大大名でないと木綿の衣料、寝具は使っていません。
さて女性は下はフリーというのは有名な話です。
しかし、腰巻を付けていたと言われています。
付けてないという方もいます。
しかし、確かに腰周りを何かでカバーしておいた方が、貴重な着物が長持ちします。
現代でも、頻繁に着物を着る時には、肌襦袢の下に長めのオーバーパンツを履くように言われます。
一見肌襦袢で汚れが押さえられるように思われがちですが、案外……です。
必要は発明の母なので、私は腰周りは布で覆っていたと考えます。
生理の時は、身分の高いお姫様は股に布を挟んで寝ています。
活発なお嬢様やお侍女たちは、「お馬」と呼ばれる女性用褌をして、中に
庶民の女性はクズ布を穴……m(_ _)mに詰め込んで、厠で定期的に出していたそうです。
圧倒的に体幹の発達していた時代の方々は凄いですね。
もちろん布は貴重品なので、雑布、クズ布といえども洗って使いまわしておりました。
さて、男性は褌です。
褌という呼び方が定着したのは江戸中期と言われています。
当時の呼び名は「
戦国末期から江戸初期には「
庶民は布が貴重品だった為に、no下帯の人もいました。
締めていても現在「
布は麻などの植物の糸を荒く織った布です。
付けてるのは大人の男性だけで、子供はno畚褌です。
身分の高い男性は、もう少し余裕のある布を使用していました。
長篠の戦いで磔になった鳥居強右衛門という方が居られます。
その方の姿が旗印になっているお陰で、当時の武将の下帯を垣間見ることができます。
これは前たれの無い「六尺褌」です。
それと「割褌」と呼ばれる前たれのある物も使用していたようです。
こちらも麻が主流で、目が荒い方が柔らかいので、詰んでいない物を着用していました。
大名クラスでは絹、末期には木綿もありました。
徳川家康公御着用の下帯が残っていますが、天下人家康公のそれは薄黄色の麻の一枚布の六尺褌です。
薄黄色の麻の褌は、汚れが目立たないので、洗濯を頻繁にせずに済むと家臣の皆様にお勧めだったそうですが……
さすが万事地道な家康公ですね!しかし、残念なことにパリッとした白の下帯がかっこいい!という価値観があって、皆様には不評だったそうです。
因みに流石天下人だけあって、布をふんだんに使った幅広の(使い古したのか)柔らかそうな逸品です。
綺麗好きでオシャレな信長公は違うはず!と思いたいです。
秀吉公はご
伊達政宗公も昭和49年にご遺体が確認されている大名ですが、布は朽ちていたとしか……
ここで1つの疑問があります。
それは本当に普段から下帯を付けていたのか……
私たちは下着をつける文化の中で生きています。
ですから、付けている筈という前提で考えます。
大名たちは、常に死なないことを考えて行動しているので、突然襲われた時に動きやすい、みっともなくないという観点で付けていてもおかしくありません。
またそのまわりの近習もそうでしょう。
本能寺の変の時に、本能寺に侵入した兵が「奥から肩に白の小袖を引っ掛けた下帯姿の男が出てきた」と供述しています。
これが誰だったのかは不明ですが、夏頃(新暦で六月下旬)寝る時にはこういう姿だったのだと分かります。
では、僧侶や神職、公家、文官、年寄りはどうだったでしょう?
褌の有無、種類は戦場で、
因みに戦では「
また、上の肌着も袖がしまった物を着用していました。
これは身分のある人用のものだったのでしょうか。
この軍褌が何故現代まで伝わっているかと言いますと。
徳川家康が天下統一して、平和な時代が続きますと、軍仕度が出来ない大名、家臣が増えてきた為、パンフレットを作ったそれが残っている為です。
え?と思われるでしょうが、豊臣政権下、わずか十五年で戦の仕方を忘れ、「大坂の役」と呼ばれるそれで、鹿垣も結わえず、壕も掘れず……見るに見かねた家康公が御自ら鍬を持って掘ったという話が残っています。
戦国期の軍褌がどうだったのかは、本当のところ、今ひとつ分かっていません。
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