取次と文書

取次

取次というのは、大名家における外交官です。

取次はペアになっています。


主君の親戚或いは重臣が「指南」

主君の側近が「小指南」

と呼ばれます。


勿論、重臣も側近も忙しいですから、その下に部下がついて、具体的な仕事を現場で細々しているのは現代の組織と代わりがありません。

部下に当たるある人が深く相手がたに深く入り込んで仕事をしていて、同盟を破棄した時にえらい目にあったという記述が北条家の資料にあります。


取次はそれぞれ一大名家を相手にしているのではなく、いくつか掛け持ちをしていることが多いです。

また大名家に挟まれて生き抜くために二つ、三つと「両属」、或いは「多属」している小さな国の国主も相手にしています。


言葉の使用方法として、羽柴藤吉郎秀吉は〇〇家を指南している。

堀久太郎秀政は〇〇藤四郎丸吉を小指南している。

という使い方になります。


それでは、指南と小指南は上司、部下的な役割だったのか、と言うとそうでもなさそうです。


確かに役職としては指南の方が上に来ます。

指南は、大名、「両属、多属」している他領土の国主や、従属している国主とのやり取りに於いて、一度ひとたび何か起こった時の軍事指揮権、国主の進退に関して何かを保証したり、保護を与える一定の権限を持っています。


しかし、主君との意志の疎通という事に関すると、小指南の唯一の権限である、主君との意志の疎通に頼らざるを得ません。


それは、取次という役割だけに留まりません。

家臣達は自領土、自国の采配に関しても小指南をしている、側近たちに文書を提出して、主君の裁可を得なければなりません。


この時の側近は多少選べるようで……


羽柴秀吉は、馬廻堀久太郎秀政を通じて信長公に取り次いで貰っていましたが……

秀政への気の使い方はもう、大したもので、

「きゅーちゅん!もうきゅうちゅんだけが頼りだお!」

みたいな感じで、うまく機嫌の良い時を見計らって、上手に言い分を聞き届けてもらうよう、お愛想を言ったり、贈り物をしたり、骨を折っています。

上だの下だの言ってられる相手では無さそうですね。


重臣といえども、小指南は仇疎かには出来ない相手、というのは江戸時代と同じ感じです。




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