『やましんは歩く』

『やましんは歩く』 （解説付き）

　やましんは歩く

　やましんは歩く

　やましんは歩く

　やましんは歩く

　やましんは歩く

　やましんは歩く

　やましんは歩く

　やましんは歩く

　「やましんさ～～～～ん。どうぞお。・・・・ハイ、お名前は？」

　「やましんで、あります。はい。」

　「はい、どうぞ、なかに・・・・・」

　　　💛　　　　💛　　　　💛

　「やあ、やましんさん、体調はいかかですか。」

　「よいと思えばよく、よくないと思えばよくありません。」

　「あいかわらずということですな・・・、ああ、今回はと・・・コレステロール値は高くなってきてますなあ。ここが、目標地点ですから。悪玉も増加してます。腎機能はもともと良くないので・・・・・、肝機能は正常値ですな。血糖値が、あがってきてますなあ。ここんとこ、上昇傾向です。アレルギー反応が見られるので、なにかと、症状が出るでしょう。さてと、・・・・それで、どうするかですが・・・・・・」

「はい・・・・・」

「まあ、一番良いのは、下腹部セットを交換する事ですなあ。通常セットならば、２千万円というところですが、最近開発された『スーパー・ゴールデン・ストロング・タイプ』いわゆる『SGS』だと、１００年は動作保証付きで、うまくゆけば２００年もちます。２億万円かかりますがね。」

「どっちもむりです。古典的で、保険の効く範囲でお願いします。」

「じゃあ、毎日、注射しますか？」

「それも、いやです。やはり、もっと、歩きます。いや、また、すこし、走ります。最近、前ほど、効果が出ないんですけど。」

「まあ、ある程度、きつめにならないと、効果は出にくいです。じゃあ、いつものお薬で行きますか。」

「はい、お願いします。睡眠導入剤も、肩コリ・シップも、お願いします。」

「わかりました。じゃあ、またお待ちください。」

「はい・・・・」

　やましんは　また歩く

　やましんは　また歩く　

　やましんは　また歩く

　やましんは　また歩く

　やましんは　また歩く

　でも、ここは、たぶん、終わった後の、どこかの世界

　同じことの繰り返し

　『天国』でも『地獄』でもない

　おなじことのくりかえしが、ただ続く世界・・・　

　ここは、いったい、どこですか？

　ほんとうは、誰もいない世界

　やましん　ひとりの　世界

　だれも、介入できない世界

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（解説）

　『天国』でも『地獄』でもない世界と言えば、『この世』しかないでしょう。

　つまり、これは、心理的孤独と、コンプレックスと妄想が、むかし、母が作って

くれた、おいしいおいしい、『たまごやきで巻いた細いソーセージ』のように、甘

くなつかしい味わいをかもしだすということを、暗示したものなのであります。

（さっぱり、わかんないですよね！　でも、ほんとに、おいしいんですよ。奥様に作ってほしい、なんていったら、場外ホームランされます。きっと。）

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