第10話 ほうじ茶とは

 最近のペットボトルでは、ほうじ茶がよく販売されてますね。冬場の寒い時期などでは、温かいほうじ茶は重宝しております。


 ってな訳で、今回は『ほうじ茶』についてです。相変わらずの箸休め的なコラムですので、お気軽にご覧下さい。





 ほうじ茶とは、特殊な栽培方法とか製茶工程があるモノではなく、「煎茶や番茶などの製茶が完了している茶葉を、さらに再加熱して香ばしい香りや味わいを引き出したお茶」の事を指します。


 そのため、『煎茶のほうじ茶』『番茶のほうじ茶』『玉露のほうじ茶』など、様々なほうじ茶が作れる訳なのです。抹茶に関しては、完全に焦げてしまうので不可能ではありますが。また、『紅茶のほうじ茶』『烏龍茶のほうじ茶』というのも作れたりします。


 ちなみに『ほうじ茶』という名前ですが、本来は再加熱する器具として『焙烙ほうろく』という器具を使います。陶器製のミルクパンのような感じの器具です。『焙烙ほうろく』で加熱する事を『ほうじる』と言うので、『焙烙ほうろくほうじたお茶』という事で『ほうじ茶』という名前になったそうな。


 実はほうじ茶、ご家庭でも作れたりします。油分をしっかり拭き取ったフライパンに茶葉を投下し、油は敷かずに揺すりながら火にかけて、満遍なく加熱する訳です。香ばしい香りが出てきて少し煙が出てきたら、完成です。


 淹れ方ですが、熱湯でサッと出すだけで大丈夫です。野菜を炒めると、しんなりして柔らかくなりますよね? それと同じで、加熱により茶葉の細胞壁が壊れるため、茶葉に含まれる成分が早く抽出できる訳です。茶葉の量や湯量は適当で大丈夫です。氷水で出してみても美味しいです。


 それから茶葉を加熱すると、香りの成分で『ピラジン』という物質が出てきます。この香りが精神を安定させるようです。落ち着いて一服するには、良いお茶だという事ですね。






 ちなみにその昔、まだお茶の保存が良くなかった頃、輸送の途中で茶葉が湿気ったり香りが飛んでしまったので、販売の際には改めて加熱させていたため、北日本の方では日常定のおは『ほうじ茶』でした。


 そのため現在でも居酒屋などでは、焼酎のほうじ茶割りの事を『番茶割り』と言ったりするそうです。


 そんな日常にそっとあるほうじ茶、改めて味わってみてはいかがですか?

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