第7話 粉茶とは

 お寿司屋さんで食中・食後に飲まれる事の多いお茶で、お寿司屋さんの『アガリ』と言えば、このお茶が使われております。


 そんな訳で今回は、『粉茶こなちゃ』についてお話します。





 さて、前述した「製茶段階で規格外品として出てくる品物」である『出物でもの』のひとつであり、製茶段階で砕けてしまった茶葉を集めたモノが、『粉茶』になります。


 粉と言うほど粉末状になっている訳ではなく、どちらかと言えば「紅茶のティーバッグの中身くらい」の大きさの茶葉になります。


 砕けた茶葉ですので、味わいは濃い目でキリッとした渋味苦味があるのが特徴です。そのため、サッと抽出するのが良いようです。





 淹れ方としては二種類あって、


●竹を使った縦に細長い『茶漉し』に粉茶を入れ、上から熱湯を注いでサッと抽出する


●湯飲み茶碗にそのまま茶葉を入れ、熱湯を注いで10秒ほど待ち、上澄みだけをすすって飲む


という淹れ方があるそうです。茶葉が砕けて表面積が多く、熱湯で淹れますので、成分がよく抽出されるため、このような淹れ方になるのです。





 お寿司屋さんで飲まれる理由ですが、江戸前寿司のお客さんの『江戸っ子気質』が原因だったとする説があります。


 江戸っ子の気質と言えば『せっかち』。そのため茶葉に湯を注いで待つ、なんて時間もゆっくり出来ないほどだった様子でして、そのため「熱湯でサッと抽出できてサッとお客さんに出せる」粉茶が、より適していたという事のようです。お寿司も保存のための下処理をしていたので味が付いていて、それをサッパリと洗い流すにも良かったようです。





 現代のお寿司ですと、「回転寿司に粉末茶」というのが、当たり前の風景になってしまってまして、粉茶の出番も少なくなってきているようです。


 ただそれでも、飲食店などの『給茶機』には必ず使われているお茶ですので、無くなる事はないでしょう。


 こちらもお茶専門店なら置いてあると思いますので、お試しで買ってみるのも良いかと。ただし、500g~と業務用に販売している所も多いので、なかなか小分けにしているのを見つけるのは難しいかと。


 お茶屋さんで試飲できれば、是非味わってみて下さい。

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