第6話【番外編】出物が美味しいお茶屋さんは良いお店

 ちょっと間を置きまして、ちょっとした『お茶にまつわるお話』などをひとつ。難しい事ではありませんよ。


 最近、町中でお茶を扱う専門店は少なくなりましたが、ひと昔前には数も多く、その専門店の良し悪しを判断する目安として、「『出物でもの』が美味しいお茶屋さんは良いお店」という言葉があります。それの解説をして行きましょう。





 まず『出物』とは、製茶したお茶から弾かれる規格外のお茶、具体的には『茎茶くきちゃ』や『粉茶こなちゃ』があります。


 町中にあるお茶屋さんは、お茶農家さんや製茶業者さんから『荒茶あらちゃ』という段階のお茶を仕入れます。この段階ですと、固い茎や砕けた葉っぱなど、規格外の品物が含まれているのです。


 ここから「お茶を磨く」という段階を踏みます。具体的には、規格外の品物の選別をして弾き、加熱してしっかり乾燥させ、ブレンドして製品とするのです。


 この時に弾かれた茎や砕けた葉を集めたモノが、『出物でもの』という訳です。固い茎の部分を集めたのが『茎茶くきちゃ』、砕けた葉っぱを集めたのが『粉茶こなちゃ』になる訳です。


 規格外品ではありますが、元になるお茶は同じモノ。これらは安く手に入るので、味見にはもってこいな訳なのです。ここから味を判断して、「美味しいっ!」となれば、本命のお茶も美味しいと解る訳です。





 今ではあまり通用しない言葉になってしまいましたが、もしご近所でお茶屋さんがあるようでしたら、お試しで出物を買って味見してみてはいかがでしょうか。


 淹れ方については後述しますので、そちらをご参考になさって下さい。

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