月光

樹(いつき)@作品使用時の作者名明記必須

月光

やけに明るいと思って空を見上げると月が出ていた。今夜は満月だ。


あの人と満月を見た事をふと思い出していた。

あの時も、今日みたいに空気がピンと張りつめたような寒い夜だった。


あの人と別れてからずいぶんと時間がたったのに、あの人の事を思い出すだなんて…

あの人もどこかでこの月を見ているのだろうか。

どこかでこの月を見ていたら、私の事をほんの少しでも思い出してくれるだろうか。


月がにじんで見えた。なんでだろう。涙が勝手に流れていた。


本当バカだ。今頃になって後悔するなんて。

ささいなケンカだったのに、なんですぐに謝れなかったんだろう。ごめんなさいの言葉がその時は言えなかった。あんなにも愛していたのに。


あの人の連絡先はあの頃から変わっていないだろうか。久しぶりに連絡を取ってみようか。

月の写真を思わず撮っていた。あの人に送るために。

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