初雪
樹(いつき)@作品使用時の作者名明記必須
初雪
目が覚める前から、なんとなく分かっていた。
案の定、目を覚ますと真っ白な世界が広がっていた。今シーズンになって初めての雪だ。
雪を見るとあの子の事をふと思い出す。
雪のように色白なあの子の事を。
小学校の時に同じクラスで、生まれつきの病気の為、入退院を繰り返していた子がいた。
クラスの皆で千羽鶴を贈ろうという話になり、クラスの代表としてその子がいる病院へ僕が届ける事になった。
久しぶりに見るその子は、同級生の誰よりも小さく、誰よりも色白だった。
千羽鶴を手渡すと、涙を浮かべて何度も何度もありがとうと喜んでくれた。喜んでいるのになぜか悲しげにも見えた。
ほどなくしてその子は大きな病院へ行く為、転校していった。結局その子とは病院で会ったのが最後だった。
月日は流れ、僕はあの子がいた病院に小児科の医師として戻ってきた。一人でも多くの子供を笑顔にするために。
あの子は元気にしてるのだろうか。
雪を見ながらあの子の事を、ふと思い出していた。
初雪 樹(いつき)@作品使用時の作者名明記必須 @ituki505
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