席の移動をお願いします
とてもやる気のないアルベドをよそに参加者全員が集まったらしく、司会者らしい女性が出てきた。
「皆様お待たせいたしました~!!楽しいパーティーの始まりです!
ぜひ気になった相手に自分をアピールしてくださいね!!!
なんだかお話しするの恥ずかしいな~と思う方でも大丈夫!!
一人一人と順番にお話しする時間が設けられていますので、ゆっくりとお話しできま~す!!」
やたらテンションの高い司会者につられたのか、話が終わると男性陣はお~!!!と拳をあげるのだった。
そしてアルベドは内心ため息をついた。
(こんなんじゃ女性は喜ばないわよ。司会者はバカなのかしら?)
アルベドと同じく、女性陣はテンションの高い司会者と男性達に引いているように見えた。
そして、女性は椅子に座ったままご飯を食べて飲み物を飲んで、男性が椅子を移動する形で始まった。
司会者の女性が説明をする。
「一つの席につき制限時間は10分です~!時間になったらお知らせしますので、移動してくださいね~!!連絡先交換はまだしないでくださ~い!!」
エントリーナンバー1番から20番まで男性はいるのだが、いわゆる人間界でいうイケメンという人間は大体4、5人いるようだった。
女性たちはイケメンと話すべく、ソワソワしながら来る順番を待ちわびていた。
そして人間達は、アニメや料理のお話、スポーツの話などで盛り上がっている席ももあれば、残念ながらお話が盛り上がらずに食べ物だけが減っていく寂しい席もあった。
アルベドはアインズ様に会えないイライラを解消をすべく、とりあえずより良い成果を出すためにと自分の前にいる人間と軽く話を交わしながら、周りの人間の話も聞いて観察をしていた。
「貴方の趣味は何ですか?」「男性なんですが料理が趣味で~」
「私は旅行が好きなんですが、なかなか相手が見つからなくて~」
「私はアニメが~」
「異国のヒップホップというダンスにハマってまして~」
「一緒に冒険者になりませんか~?」
「魔法って興味あります??」
「僕は女性の太ももが好きで、ハアハア・・・」
一部怪しい話もあったが何事もなく時間が過ぎ・・・
「はい!時間でーす!席のご移動をお願いしま~す!!」
司会者の女性が大きな声で話す。
その後も何度か席の移動があって、男女共に話が盛り上がっていたのに時間の為、しょうがなく席を移動するところもあれば、やっとイケメンと話せる!!と先ほどの無表情から笑顔になる分かりやすい女性がいたり、悲喜こもごもの移動だった。
アルベドはもちろん下等生物の話には興味はないので、もう何人も適当に話していた。また特に役に立ちそうな人間がいないことにがっかりをしていた。
(わざわざ人間の恋愛を調べるために来たけれど、なんも収穫がない・・・ほとんどの人間は趣味の話か仕事の話しかしない・・・人間って何が楽しくて生きてるのかしら?)
そして、続いて席の移動がありアルベドの前には、でっぷりと太ったとても脂っぽくて気持ち悪い男性がきた。
(うわ~気持ち悪すぎる・・・でもデミウルゴスのモンスターのエサには丁度良いわね・・脂分が多い方がモンスターも喜ぶだろうし・・よし!デミウルゴスのお土産としてお持ち帰りしましょうか・・・くふふふふ♡)
違う使い道の人間が見つかった為、持ち帰るために仕事モードになるアルベド。
「貴方様ってとても素敵ですわね・・くふふ♡」
素敵な声を聞いた気持ち悪いエサ(人間)はハートをバキューンと射抜かれて、骨抜きになった。
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