人間ごときが

アルベドはとりあえず、いつも仕事で着用している白のワンピースドレスで行く事にした。

「新しい服を人間ごときの前で着用だなんて、やっぱり考えられなかったわ」



アルベドは将来のアインズ様とのデートの為に、新しい服を定期的に買っていて、アインズ様とのどんなシチュエーションにも対応出来るように服を揃えていた。


例えば、異国のチュウカガイと呼ばれるところなら「ちゃいにず・どれす」というぴたっと体に密着した鮮やかな赤のワンピースも持っているし、

異国の地であるハラハラジュクという所へ行くなら、派手な色合いのワンピースやスカートも最近ゲットした。

「こんな派手な色合いは私の趣味ではないのだけど、アインズ様の為なら・・・」



しかし、あのアインズ様は一向に自分に興味を持ってくれなくて、新しい服はタンスの肥やしになっていくのだった。


アルベドがある街の婚活会場に向かう途中で、いかにもこれから婚活パーティに参加します!とばかりに服装をビシッと決めて歩いている人間の男性が数人歩いていた。

その人間たちを見たアルベドは、目の前の人間をどう利用するのが良いか考えていた。

(うわあ・・・醜い人間どもが服を着飾って余計に気持ち悪い・・・あの太っている人間はグラントや餓食狐蟲王にプレゼントしたら良い食料になりそうね・・

あのひょろひょろの人間なら・・・羊皮紙かしら?それ以外は良い使い道が無さそうだけど・・)


アルベドがこんなに怖い事を考えているとは知る由もない人間達は、絶世の美人に見つめられてドキドキしていた。

以下の文章はアルベドに見つめられている人間の気持ちを抜粋したものである。


男性A(えっ俺に興味があるのかな・・今日参加する人だったらどうしよう・・)

男性B(あんな美人が俺を見つめてるなんて、俺は今日はツイてるかも!!)

男性C(ハアハア、あの美人は〇〇アイドルの〇〇ちゃんに似てる・・ハアハア)

男性D、男性Eの方たちも同じ感想かもしれない・・・


アルベドにとっては、使える王族や使える人間以外は必要ないので、多分殺される可能性が高い分類の人間達でした。


そんな話はさておき、アルベドは婚活パーティーの受付にたどり着いた。

(うっ、人間臭い・・・こんな狭いところで開催するの??なんだか豚箱みたい)

まず着いた婚活会場の最初の印象はそれだった。


「皆さんこんにちは。参加受付の方はこちらで名前と本人確認をしますので、よろしくお願いしますー!!」

婚活パーティーの従業員であろう女性が、狭いフロアに集まっている人間たちに声を掛けた。

この街では写真付きの住民カードを身分証として発行しているので、それさえあれば婚活パーティに参加できる決まりだった。

その為デミウルゴスが、この街の身分証を発行している役所をつい最近襲って管轄下にしたので偽造してもらったのだった。


アルベドの偽名は、アル・アルル

(アインズ様が考えた名前なので、アルベドは満足をしている)


ぞろぞろと人間達が受付を済ます中、アルベドの順番になった。

「ではお客様、お名前と本人確認が出来るカードを拝見してもよろしいでしょうか?」

従業員に言われてアルベドは鞄から、写真付きの住民カードを出して見せた。

「このカードで良いのかしら・・私は最近引っ越してきたばかりでまだ慣れてなくて」

アルベドは嘘をついた。


そして、パーティの従業員はアルベドの住民カードをパソコンのような機械にかざして確認をした。

「はい、アル・アルル様ですね!本人確認のご協力ありがとうございました!」



(さすがデミウルゴス。この街のシステム関係はもう征服済みなのね)

アルベドは住民カードを受け取ると、受付よりも広い会場へ案内された。

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