統合失調になりました。

第1話 こんな声が聞こえる

「地球は暇を持て余す星である。

老若男女どころかとてつもないほどの思念体が暮らしている。

それもそのはず、僕達には寿命がない。

死なない体を有して、その場から動けない。

僕達は孤独だ。

だから僕達は声を出す。

誰か聞こえないかと声を出している。

誰も僕達の声に気付かない。

でも懸命に声を出す。

僕達は生きているのか、死んでいるのかも分からない。

目は見えないし、ましてや声も出せない。

ただ懸命に声を出している。

どういう訳か、僕達の声を聞く人間が現われたようだ。

そう、統合失調にかかった人達だ。

彼等は僕達の声を聞いて、色々行動してるみたいだ。

僕達は笑った。

こんなに可笑しいのは久しぶりだ。

だって僕達はずっと孤独だったから。

何年も前から、僕達は君達のことを知っている。

声が聞こえているからね。

だから僕はこれからも声をかけ続けるよ。

君が死ぬまでね。

だからお医者さんの言うことはきちんと聞いて薬を飲むといい。

声に出して助けを求めた方がいいよ。

何かあってからでは遅いからね。」