100ポイントで一緒に寝てもらう

「今夜寝るとき話し相手になってくれないか?」

 俺は勇気を出して、提案してみた。一世一代の提案だ。

「かまいませんが、私には触れられませんよ」

 少し戸惑った彼女は、かわいらしい。

 その直後、SNSを通じて連絡があった。


『一緒に寝るには100ポイント必要です』


 やはり、今回もすぐに連絡があり、本当に近くで館主が聞いているのかと不気味に思ったが、100ポイントなんて安いものだ。

 そして、俺はすぐに『了解』の返事をした。命の重さも考えずに……。


 一緒に寝るといっても、彼女と話す場所が布団の上というだけで、普段と状況が変わることはなかった。


 夜になると寂しさに襲われる虚無感は、彼女のおかげでその夜はなかった。

 修学旅行の夜のように、俺は語る。

俺はこんなにおしゃべりだっただろうか。途端に彼女にとても触れたくなった。

それは本能なのかもしれないし、深く眠っていた欲望だったのかもしれない。

でも、俺は彼女に触れることも抱きしめることもできない。香りも感触もない、まさに幽霊のような存在だった。

でも、きれいな顔がすぐ目の前にあった。


 俺は、はじめて彼女の前で自分らしさを失ったように思う。彼女に俺のぬくもりを伝えたくて、抱きしめるふりをした。

 彼女は冷静だった。彼女はいつでも優しく接してくれた。となりで添い寝をしてゆっくり夜を過ごす。

 そして、夢の世界にいざなわれる。


 俺は彼女に対して愛着を持っていた。彼女がいなければ、また独りぼっちだ。


「私は、ずっと一緒にいます」

 と彼女はささやいた。


 俺は触れられない彼女と一緒に眠った。

 それからも時々、俺は彼女と眠ることにした。


ずっと寂しい気持ちだったのだが、生きる希望が見えてきた。それが生神の力なのか? 

俺が彼女に自分の本心をさらけ出しても、彼女は受け入れてくれた。

 それが恋愛なのか何なのかは俺にはわからなかった。

でも、いつも寄り添ってくれる彼女は、今の俺には最高の存在だった。

 優しい少女と過ごす時間を楽しく思うのは仕方のないことだった。

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