ショートショートショート

無宿統帥

ホラー

仕事の帰り道、公園を通ると子供が泣いていた。

「お兄ちゃん...お兄ちゃん...どこ行ったの?」

私は泣いている迷子の女の子に声をかけた。詳しく聞くと、その子は私の住んでいるマンションの隣に住んでいるらしい。

「よしよし、お家まで送ってあげるからね。」

そう声をかけ、女の子を送り届けたあと家路へと向かう。

「いや〜今日こんな事があってさ〜」

妻に出来事を話すと、妻はキョトンとした顔をしている。

「あなた、本当にその子、お兄ちゃんお兄ちゃんと泣いていたの?」

「そうなんだよ、迷子になったのか可哀想だなあ」という私

益々怪訝になる妻の顔。

「本当にお兄ちゃん、お兄ちゃんと泣いていたのね?」

念を押すように聞いてくる妻にいい加減鬱陶しく、「だから何度もそう言ってるじゃないか」と答える。

妻は不思議そうな顔をしてこう言った。

「私、その女の子の家庭と知り合いだけど、あの子独りっ子よ。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ショートショートショート 無宿統帥 @tensyabi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ