昨今の"Wilderness"を名乗る超自然的現象に関する備忘録
@sarcofh
・その(人間における)はじまり
心に入れる鍬、それが信仰だ。あるいは超自然的なものなど存在しないという重機かもしれん。いずれにせよ、あるがままの心は荒野になるのだ。全ての文化、文明はそれを妨げようとする装置で、これは肉体の都合によって生まれたものだ。それが、荒野で発見したどの文化にも属さない神Wildernessという安直なネーミングが今でも使われる理由だろう。
北西準州で発見された”Wilderness”リオロード。その名前は本人がリオロードと名乗ったように聞こえたからだという。その存在はとある人間によって報告された。当然と言うか、ほとんどの人は相手にもしなかった。超自然的存在が見えると言う時点でほとんどの人は目を背けるし、そう言うものに興味を示す人も「先住民の伝承に出てくる存在ではないのか」と切って捨てた。報告した人間は「アレは明らかに人間が生み出したものではない。人間の影響を一切感じないのだ。大抵人間の伝承に出てくるものなら人間そのものであるか、人間に友好的か、人間に敵対的か……大抵そんなものだ。だがアレは……人間の都合というやつを一切感じなかった。」と反論した。ちなみにこの件についてリオロード報告者は本を出版した。売れなかった。この報告者は今でも人間をやめどこかで存在しているという。
数十年後、大学生の物好き集団がこの報告を発見した。グループの一人に報告者の子孫がいたのである。物好き集団はこの噂を確かめるべくトロントからリオロードが発見されたという土地に向かった。幸運なことに、彼らはリオロードを見ることに成功した。これは集団の中にWildernessであるSister Fieldが紛れていたからという説がある。リオロードは強力なWildernessなので、同族なら簡単に探知できるのである。さてここからが問題である。リオロードはかつてこの地球の霊長だったもの、つまり恐竜による超自然的存在なのだが、これはつまり神に想いを馳せるのは人間の特権ではないということを意味する。これは彼らにとってひどくショックなことであったので、彼らはトロントに戻ってくるころにはもはや誰一人、真っ当な人間ではなくなっていた。ほとんどのメンバーはこの件の後は人間に戻ろうと苦心したが、一人、この経験を手掛かりに人間を越えようとし、実際に超えた存在がいた。これが是(ぜ)である。是は人を超えるすべを広めた。これが本日のwildernessムーブメントの始まりであった。
ここからはもう雪崩のように人々は超自然に親しむようになり今日に至る。今では世界の総人口の5〜6%は「人ではない」存在となっている。
とはいえ大多数の人間はリスクをとって自然を超越することを選ばないのではあるが、そんな選択肢存在すらしなかった60年代以前に比べれば恐ろしい変化である。
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