ご乱心するケイティ姫 下
「あそこ…」
指さすケイティの先には、男が行為を行っている場所の手前に、ここからは、そう遠くない場所に花屋があり、その隣には、石で出来ている建物が口を開けて佇み、その奥には、下へと向かう階段らしきものが小さく見えていた。
「…たぶん、あそこかも…行ってみよう…」
ライザの言葉に、身を小さく屈めながら動き出す一同……
「あっ…、あぁ~~~。」
性行為を行っている男が声を上げて果てる姿に、視線を移した一行は動きを止めずに、建物を目指し、その行動を知らない男は、イチモツを女から抜くと、女の尻を大きく前へと押し出した。
女は倒れ込み、小さく痙攣をしている。
その女の尻を見ながら、自分の精液が女性の陰部から流れるのを、呆れた表情で見ると、そばにいた巨体を見上げた。
「デスベア…殺せ!」
その言葉に、目を見開いて振り返った女性の目には、デスベアの向こうを進んでいる姿が見えた…と同時に…。
「ママ!」
ケイティの腕に抱かれていたレアが大きな声で叫んだのに、一同が立ち止まり、 その言葉を聞いたケイティは男へと視線を向けると、そこには、下半身を露出して男がゆっくりと振り返り、黒い防具で身を覆っている巨体が大剣を振り上げた姿があり、その傍で裸で倒れているネコ科の亜人の姿が見えた。
「ママ?」
ケイティの問いにメルディスが剣を構え、タイロンが盾を持ちながら進み出した。
「ママって…あの人?」
ライザがレアに近づき言葉をかけると、その言葉に小さく頷き、大粒の涙を浮かべた。
「あぁ~レア…」
亜人の女性が言葉をつぶやいた瞬間!
巨体が振り上げた大剣が、空気を切り裂く音と共に肉を切り裂いた音が、場へと響き渡った瞬間!!
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ………」
光景を見ていたケイティの腕の中で、悲鳴を上げたレアは、勢いそのままに気を失ってしまった…すると…。
目を見開いたケイティは、レアを見てから、大剣を振り降ろしている巨体へと視線を移し、その傍でズボンを履き終わった男が、怪訝な表情でケイティらへと視線を移した。
広場の者らも見ている。
「…お…な…」
ケイティは、気を失っているレアをそっとメルディスに渡し……。
腰に備えていた短剣を抜き、顎を大きく引いて見せると、ちいさく傾き始めた。
「お…まえ……らぁ~~」
言葉が早かったか、それとも駆け出すのが早かったのか、ほとんど同時に進み始めたケイティ。
「ケイティ!!」
ジェンスの横を通り過ぎたのに、声をあげたジェンス。
「あのバカ!」
素早くタイロンの横を通り過ぎたケイティへと声を上げて、反射的に続くと、ジェンスも後を追い始め、目を血走らせて進むケイティは、何も考えずに男たちへと進み、その様子を見ていたビッグベアが、眉間に皺を越せてゆっくりと動き出した。
「なんだ、なんだぁ?」
男は、向かってくるケイティらを見ると、近くにいた違う巨体を見上げる。
「ナンバー4…出番だ!」
その言葉に、腰にある剣を抜き、大きな音を立てて進み始めたナンバー4。
「まて!ケイティ!」
タイロンが叫ぶが、ケイティには聞こえていない。
男の傍に近づいたケイティの目の前に、ナンバー4が割って入り、剣を大きく振りかぶると、力強く振り降ろしたが、そのタイミングで、前方回転をしながら、ナンバー4の横を抜けて立ち上がり男の前に立った。
ナンバー4の振り降ろした剣が、地面に張り渡されているレンガを砕いて突き刺さると共に、タイロンが盾を前に突進をして間合いを詰めた。
ナンバー4が大剣を地面から抜き始める前に、タイロンの脇を通りジェンスが飛び出し、黒い刃を持つ剣を、眉間を狙って突き立てたが、その剣を掴んだナンバー4。
その瞳は…と思った瞬間に、抜いた剣がタイロンへと払われ、盾で防いだタイロンだが、左側に大きく払いのけられ、それと同時に同じ方向へと剣ごと投げられたジェンスは、タイロンと共に地面を転がった。
ケイティを目の前にした男は、見下ろしている。
「お…おまえ!」
短剣を構えると、男の傍に、血が滴っている大剣を持った巨体が立った。
「なんだ?…まぁ~いい。おれは疲れた。殺せ!」
その言葉に大剣を小さく上げた巨体は、ケイティに向かって振った速度に、ケイティは目を見開いた。
その速さは、あっという間の感じであり、その威力も空気を切り裂くような音でわかった。と…。
…え?…。
ケイティの頭上で、大きな衝撃音と共に血に滴った剣が止まり、振り出された剣から鮮血が、ケイティの顏に降りそそぐ。
視界の頭上で交わっている剣は…。
「ビッグベアか…」
男がケイティの隣に立っているビッグベアを見て言葉にした。
ビッグベアは顎を引いて、対峙している者を見ていると…。
ビッグベアの脇に何かの影が見えたと思った瞬間、隣にいたビッグベアが、ケイティへと飛ばされてきたのに目を見開いたケイティは、ビッグベアの巨体を受けながら地面を転がった。
体の痛さに薄く目を開けた向こうには、ナンバー4の姿があり、その隣には同じ大きさの巨体、そして…ゆっくり進んでくる男の姿があった。
ケイティは、ヌルっとした掌の感覚に、視線を向けると真っ赤になっており、横で苦悶の表情を浮べているビッグベアが視界に入って来た…と、向かってくる男の向こうを駆け抜けるレアの姿があった。
その動きに気付いた男も視線を向けた。
レアは、首を刎ねられた母親の近くに膝間つき、遅れてライザがついて来ると、レアを後方から抱きしめ、その姿に立ち上がり、落ちていた短剣を拾ったケイティ。
そして…。
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