α-7. 結論

 わたしのかつてのコンプレックス。

 わたしの強烈だった劣等感。

 恋をしたことがないこと。

 恋心がわからないこと。

 散々悩みもした。

 考察をした。

 いろんな人の意見を聞いた。

 日常だったり、非日常だったり。

 才能だったり、思い込みだったり。

 愛とは違ってたり、不必要だったり。

 確率論だったり、進化の結果だったり。

 きっかけだったり、後からついてきたり。

 どれも鮮烈で、個性的で、違っていた。

 でも、全部間違いではなかったと思う。

 だから……わたしもこれでいい。

 他の人と違っていい。

 恋の方程式が解けないのは、

 きっと定義ができないからなんだ。

 こうして、

 確信もないまま、

 静かに、緩やかに、

 長引いたわたしの考察は、短い結論に達した。

 わたしを好きだと言ってくれる人がいる。

 その笑顔が素敵だなと思うわたしがいる。

 なら、もうそれで十分なのかもしれない。

 きっと二人は恋に落ちてるんだと、決めた。

 自分で決めた。

 恋をしたことがないわたしは、恋をしてみることにした。

 今なら、はにかみながらも、こう言える。

 初めての恋を、やっと、始められました。

 わたしなりに楽しんで、時には悲しんで、

 そしてときめいていきたいと、思います。

 うん。

 だからこれにて、少女αの些細な考察――恋の話はおしまいだ。


(終)

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考察する少女α 梦現慧琉 @thinkinglimit

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