第5話 変わったけど変わらない日常
トラは目を覚ます、周りを見渡すが誰もいないが自身が寝ていたベットの横にある机の上には食べ物が置いてあった。
「今日は魚か、じじいも言ってたし食べて寝るか」
おいしい魚料理を食べトラは満足する、今回食べた魚はそこそこ高級な魚なのだが猫のトラには魚は魚なのだ。
とりあえず腹も膨れたしベットの上でゴロゴロすることに、特にやる事も無い、やはりいろいろと賢くなったのだが所詮は猫なのだ。
―――――――
ベットの上でゴロゴロしていたのだが如何せん暇なのだ、この部屋にはトラ以外居ないしとりあえず動き回る事にした。
とりあえずベットから飛び降りベットの下を覗いてみる、何もない、少々埃っぽい。
窓を見る、日が昇っているので昼だろう。
歩いて向かいのベットへ近づく、トラが寝ていた場所と同じで特に目新しいものは無い。
扉の方へ移動してみる、すると左方向に棚がある、中には小瓶が見えるから薬棚なのだろう。
反対を向くと机と椅子がある、机に飛び乗ると幾つかの本がある、今のトラなら解るがこの本は医学系の物だ。
興味がないので扉の前に移動する、ドアノブがあるが届かない、仕方がないので元居たベッドへ戻る事に。
「…あぁ暇だ、前ならこういう時は寝れたのに今は寝れん」
ベットの上で丸まって寝転がりながらぶつぶつと呟く、寝れなくなったのも装備している首輪のせいだろう、しかし気づきながらも気づかないふりをするのである、でないと自分が自分でなくなってしまいそうだからだ。
そんな事を考えていた時扉が開いた、入ってきたのはドーバだった。
「おぉトラちゃんや! ご飯は食べてくれたようじゃなよかったよかった」
「何の用だじじい」
「トラちゃん? 出来ればわしの事をじじいとは言わんで欲しいのじゃが」
「なら旨そうな鳥」
「それもいやじゃな」
本当に嫌そうな顔で答えるバード、トラはとりあえず座って相手をじっくり見るとこにした。
体は人間、顔も人間、腕も人間、しかし鳥の羽が生えている、足はズボンと靴でよくわからないがたぶん人間の足だろう、羽は根元から赤、緑、青と別れている。
なんだろうこのじじいを見ているととてもおいしそうだ。
「――っでじゃ、だからドーバと呼んでくれんかの?」
何か話していた様だがよく聞いて居なかった、とりあえずそう呼べばいいのだな。
「わかった旨そうなドーバ」
「旨そうはつけんでええんじゃがなぁ…」
不服そうだが名前を呼んでもらえたので良しとする事にした様だ、そんな事よりも何故来たのかをトラは問うてみた。
「っで何か用があってきたんじゃないのか?」
「おぉそうじゃ首輪を取りに来たんじゃ、それは一応景品だからの」
そう言ってドーバはトラに近づき首輪に手をかけ取ろうとする、しかし首輪は皮膚に張り付いているかのように取れないしとても痛い。
「痛い痛い痛い!! くそじじい痛いからやめろ!」
「おぉぉすまん…」
そういって首輪から手を放す、余程痛かったのかトラはその場にのたうち回りバードは困惑した表情でそれを見る。
「こまったのぉ、とりあえずロップに報告かの?」
そういうとのたうち回っているトラを抱きかかえ副ギルド長が居る部屋へ向かった。
―――――――
目的地へ行く最中やっと痛みが治まったのか大人しくなるトラを見てホッとした表情になるドーバ、そんな彼を見て不満顔になる。
「ちっ、くそじじい…」
「…すまんのぉ」
悪態をつかれるがドーバは謝る事しか出来なかった。
―――――――
ロップが居る副ギルド長の部屋に来たドーバはノックもせずに扉を開ける。
「ロップや大変な事が起きたぞ」
「…鶏と一緒でノックするという一般常識まで忘れたのかしら」
嫌味をいうこの女は頭からウサギの耳を生やしている、ウサギの獣人なのだろう。
「だぁもうだから大変じゃと言っておろうが」
「はいはい、で何が大変なんですか?」
羽をバサバサ動かし話すドーバに一方でジト目で見るロップ、猫であるトラでも解るこれはドーバには威厳が無いという事だ。
「首輪が外れんのじゃ」
「まぁ、それなら100万くらい払って貰おうかしら」
「ひゃっ!100万ドエじゃと!」
説明しよう! この世界のお金の単位はドエで1ドエ=1円だ!
「ええ、それでは給料から引かしてもr」
「ま! 待つんじゃ! …もう少し安くならんかの?」
ニヤニヤ笑うロップ、焦るドーバ、いったいこれからどうなるのか!?
結局払いましたとさ。
―――――――
「本当に外れないねぇ」
「あぁあああああああああああ!」
本日二回目の激痛に雄たけびを上げるトラ、ロップが外そうとしてもやはり首輪は外れない。
「だから大変といったんじゃ」
「あぁあああああああああ!」
「うーんこのままだとこの猫ちゃん可哀想だから魔術師ギルドに行って何とかならないか聞いてきたらどうです?」
「うぎゃあああああああああ!」
「可哀想じゃと思うなら首輪引っ張るのやめたらどうじゃ?」
「ぐぎいぃいいいいいいいい!」
淡々と話すロップ、しかし今だ首輪を外そうとしている、見かねてドーバがやめる事を提案するがトラを見て不気味な笑顔になる。
「嫌ですわ、こんなに面白いのはそうそうお目にかかれないですし」
「んにゃぁああああああああああ!」
「…トラちゃんすまんのぅ、わしにはこやつをどうこうする力は無いんじゃ」
申し訳なさそうにトラに話しかけるが当の本人はそれどころではなく話を聞いていない。
「がぁあああああああああ!」
「フフフフフフッ」
こんな状況が数分続き何とかロップから離れる事にした成功したトラはすぐさまドーバの背後に隠れた、全身をブルブルと震わせその場から動かなくなる。
猫です、猫です、猫ですなのです。 大三元 @daisangen
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