第3話
夢の中で私は森の中にいた。
黒いカッパを着た背の高い人影を追いかけていた。男かも女かもわからないその人影はなぜか輝いて見えた。暗闇の中のたった一つの出口のように。何故自分がその人影を追いかけているのかわからなかった。けれど追いかけなくては行けないとそう思った。
何時間走っているのだろう。森の中の景色は夢にしてはリアルでまるでどこかで見た景色のように思えた。疲れてしまったのだろう。
人影との距離はだんだん開いていく一方だった。もう走る気力を失い始め、足も上がらなくなってきた。その時私は地面にある木の根に足を引っ掛け転んでしまった。その木はとても大きかった。今まで見た事のある木の中で一番と言えるほど、、。そこで私は目を覚ました。
なぜ追いかけていたのだろうか。
ご飯を食べる時も、学校に登下校する時も、授業中も、お風呂に入る時も考えた。
でもわからなかった。
その夜また私は同じ夢を見た。
昨日と同じ森を走っていた。同じ人影を追いかけていた。私は昨日のように疲れないよう程よい速さで、木の根に注意しながら走った。その成果か昨日の木の場所を超えることが出来た。昨日見た通りとても大きな木だった。その木を通り過ぎ人影を追った。だんだん疲れてきたが人影の正体を確かめるまでは意地でも止まらないと思った。
だが人間には限界がある。
たとえ夢の中でも、、。
かすかに水の音が聞こえてきた。森をやっとぬける、そう思った。木々が少しずつ減っていった。
少し経つと大きな滝があった、、。
森に住む罪人 上条忍婭 @IKAMUSUME
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