結婚目前の彼が皇帝となり、王宮に出立する彼から最上位の妃(青月妃)の証である簪を受け取ったことから、皇帝の誘いで入宮するヒロインは、自分こそ青月妃であると思っていた所、政界トップの左大臣の権限で青月妃はその娘が就き、ヒロインは第四妃の白月妃に押しとどまれ、夜伽も左大臣の意向で青月妃のみと、皇帝とヒロインと接する機会が失われ、皇帝と会えない辛さを押し殺し、皇帝の為に、不作と見込まれていた穀倉地に赴き、持てる力で作物を好転させ頑張ってきたヒロインであったが、対する皇帝となった彼は、自らの無知・無能で政から離れ、左大臣の傀儡帝となり、ヒロインへの恋慕が薄れ、青月妃のみ愛せなくなってしまったが、その青月妃に裏切られ、皇帝として妃嬪の夜伽を上位順で行い始め、漸くヒロインの元に訪れた時には、国民生活を顧みない堕落した皇帝に愛想が尽きたヒロインが離縁して後宮を去ると。只、後宮でヒロインに仕え、初見時より好意を持っていた女装した侍女にヒロインも好意を抱くようになってはいたが、皇帝の妃としての矜持が皇帝と離縁するまで口付けすら踏み留めていたが、後宮退出後追随する元侍女とお互いの意思が通じ合い口付けする展開に感動しました。
数多の後宮譚の中には、この作品の様に、王族の遠縁の許嫁や夫が皇帝に担ぎ出され、ヒロインが後宮に召される物語はありますが、どれも唯一の番という矜持を持って入宮するが、政界に後ろ盾がないままで皇帝になった彼には、ヒロインを最上位妃に据えることが困難で、会うことすらままならず、彼に会えないヒロインの苦痛に苛まれる展開に心痛めますが、それでも皇帝の為に何か行動する今作には心揺さ振られました。皇帝の彼ではなく、ヒロインをずっと見守っていた女装した元侍女の男性と、ヒロインがハッピーエンドになる終わり方には良かったと思えてなりません。