断罪劇の舞台裏

空のかけら

断罪劇の裏舞台

「おい、スポットライトの向きがおかしいぞ」

「ミニマイクは、ちゃんと渡したんだろうな」

「指向性マイクは、これで合っているか」


最近の婚約破棄はドラマ調なので、裏方が重要なファクターになっていた。


断罪劇が行われる場所は、確かに大声で言えば、響きが良い場所なためか全員に聞える場所でもあるが、より良い状況にするには、準備が必要なのだ。

それが、スポットライトやマイクの類いである。


もちろん、それ以外にも仕込みはあり、この断罪劇が当初の目的を果たすことができれば、成功報酬も得ることができる。


「始まるぞ、総員配置に付け」


王子と男爵令嬢がきた。


少し遅れて、王子の婚約者である公爵令嬢が入場して来た。


王子の言葉をミニマイクで拾って、拡声。

全員の注目を2人に向ける。


スポットライトが2人に向けられる。

と同時に、ホールの中を少しずつ暗くする。


公爵令嬢への追求が始まると同時にスポットライトを追加。


スポットライトは、機器自体もすごい熱を発する。

当然、その光を浴びている者も暑さを感じるが、そこは魔法で熱遮断をしているから、ある程度は大丈夫だろう。


少し暗いホールの中に、少し赤い要素を混ぜる。

断罪劇を見ている人には気がつかないけれど。

この光は、扇動光というもの。

もちろん、魔法で断罪劇を演出。公爵令嬢が断罪劇の参加者(?)以外からの批判を言いやすくするためだ。


「チーフ、予定と違っていませんか?」

「そこは、臨機応変にいけ」

「分かりました」


断罪劇に限らず、舞台の裏方は、俺たちに任せてくれれば、最高の演出を約束しよう。

それでは、まだ断罪劇は続いているので、このくらいで…

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

断罪劇の舞台裏 空のかけら @s-kakera

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ