第11話

火曜日。

登校していたら、途中で波暮君と一緒になった。

「おはようございます。雨下先輩。昨日はありがとうございました」

「こっちこそありがとう、波暮君。昨日は」

「楽しかったです。歌うまいですね雨下先輩。ミセスが好きなんですね。知りませんでした」

「あまり話す機会がなかったから知らないのは当然だよ」

「雨下先輩があまり話してくれないんじゃないですか」

頬をふくらませる波暮君。

女の子じゃないのに可愛い。

「たまには、いいね。カラオケ行くのも」

「また、カラオケ行けるの楽しみにしてまーす。学校でねー」

手を振り、走っていく。


たまには、いいな。彼と話すのも。


学校に到着した。下駄箱でスリッパに履き替えて教室に向かう。


梅雨が明けて夏がやってくる。


教室に着くともう冷房が効いていた。

席につき、今日の授業の用意を机に入れる。

文庫本を取りだし、栞を挟んでいたページから読み始める。


チャイムが鳴り今日も始まる。

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