第4話

帰り道を歩く。

今日は買いたい本の発売日で本屋に寄ることにした。

学校からは十分もかからずに本屋に到着する。

本屋に入ると冷房が効いていて気持ちいい。

新刊のコーナーに行き目当ての本を手に取り、マンガコーナーに寄らずレジに向かう。

会計を済ませ、本屋から出ようとしたらクラスメートの倉樹春斗君と入れ違いになる。同じ背丈だから彼の表情が見えた。

あまり彼とは話さないけど、いつもの元気そうな表情ではなく、暗かった。


何かあったのだろうか。気になるけど私にできることはないと思う。


買った本を鞄に入れ、家に帰る。



家の扉を開け、

「ただいま」

「お帰り、雫」

と兄が返事をした。

「あれ、まだお母さん帰ってきてないの。お兄ちゃん」

「ああ、今日はまだ帰れそうにないだって」

「そうなんだ。じゃあ今日はお兄ちゃんの晩御飯だよね」

「ああ、って何でだよォ。俺ばっかじゃなくて、雫も作れよ」

心底嫌そうに言う。

「お兄ちゃんのがうまいからお兄ちゃんでいいじゃん」

そう言って階段を上がり、自室に向かった。

自室に入ると制服を脱ぎ捨てパジャマに着替え、ベッドに寝ころがる。

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