5章:その後から現在

 2011年以降、体調は低空飛行を続け、疲労感と集中力欠如はそのままです。おかげで読書スピードは上がらず、最新の業界事情にもなかなかついていけず、アンテナ感度は低いまま。これでは最新トレンドについていけない。

 だるさやほてりは相変わらずで、ストレートネックによる首の痛み、仰向けで寝られない、などはそのまま。髪の毛も生えないので一時は剃髪しましたが、手入れが余計に大変なので断念。


 ところで、剃髪をどうやるのかネットで調べたところ、僧侶の皆さんもやはりヒゲ用のT型4枚刃カミソリで剃るようで、シック派とジレット派に分かれるとか、シェービングフォームを使うかどうかとか、なかなかおもしろい世界でした。シェービングフォームで頭を剃ると気持ちいいですよ。


 さらに座っている時間が長い作家の職業病とも言われる痔ですが、どうも2006年のエアコン事件で気を失ったまま座り続けるという状態が悪かったのか、2008年の人間ドックで疑いありと言われ、翌年に確定してしまいました。まあ、症状はそれほどひどくないのでいいんですが。

 それと花粉症と同時に副鼻腔炎も発症しました。

 頭・首・鼻・尻・内臓――はっきり言って全身病気です。

 これだけ病状があり、QOLにも影響しているし、実際に辛いのに、外見上は健康に見えるものだから説明が難しい状態です。


 とまあ、現在のすべての不具合は2006年が起点になっております。真剣にタイムマシンが欲しい。いや、わずか8バイトのデータを送れるレベルでいい。

「エアコンチェック」

 これだけでいいのに、まだまだSFは現実ではないようです。


 という状況なので、仕事は間欠的にしか出来ません。

 2013年はノヴェライズ1冊。

 2014年には穂村元としては3年ぶりの新刊となる『紅轍のクアドリガ』をファミ通文庫さんから出しました。本来なら『斬光のバーンエルラ』の後、間を置かずに出すべきところだったのですが、体調が戻らずにすべてが後手になってしまいました。内容的には私も編集さんも自信を持っていたし、いつも辛口の相方も褒めてくれたにもかかわらず、続刊は出せませんでした。ファンタジーでロボット物というのはつくづく難しい。それ以上に市場の変化が大きかったと思います。もうひとつ編集さんも反省していましたが、この時、3冊の新作が同時刊行になり、同じジャンルでかぶっていたため食い合いが起こったようだと。この時の3作はどれも続刊出ないままでした。

 結果として、穂村元のブランディングに失敗してしまいました。この時点で穂村元は死亡です。

 2015年にはMF文庫Jさんから『EX-PHAZER』を出しましたが、これは4年前から神代名義で進んでいたので、そのまま。それとノヴェライズ2冊。

 2016年は……ゼロ。その代わりにKDPで『まどうっ!魔法使いになるんです?』を出した。他に穂村名義で書いてみた『魔王だがリア充になろうと思う』を《小説家になろう!》にアップしました。ネットは宣伝手段が限られてしまうため、どちらも思うようには読まれていません。SNSで活発な発信をし、フォロワーを増やしていなければ難しい。個人出版の最大の課題を身に染みて感じられたので、それは経験として貴重でした。やはり、商業出版の最大の強みは宣伝であると。ところが、最近では作家も宣伝しろとかいわれるようになりました。作家にも芸達者な人もいるでしょうが、他に芸のない作家はどうすればいいのでしょう?

 2017年は久しぶりに小説を書きました。『魔王だがリア充になろうと思う』をR18版に書き直し、某所に投稿してみましたが反応がないので、2019年になってさらに書き直し、《小説家になろう!》にアップ。前よりは反応はいいようです。

 このアップが終わったら、4つほど企画・執筆途中の小説があるので、そのうち連載するつもりです。


 そして、過去作で電子化されていない作品をアドレナライズさんにお願いして電子化し始めました。デビューヴェルナディサーガ、《はみだしバスターズ》、次は《パートタイム・プリンセス》、《ウェイズ事件簿》です。《ウェイズ事件簿》については文庫自体の消滅で出版出来なかった5巻を同時リリースです。

 電子化されていない作品はまだ数作ありますので、出来れば出したいです。


 小説以外では2013年頃から少し体調がよい時に、知人経由でゲーム関係の仕事もするようになりました。シナリオの監修、キャラシナリオ、イベントシナリオなどです。


 マーベラスさんのPSP用ソフト『ヴァルハラナイツ3』『ヴァルハラナイツ3GOLD』、3DS用ソフト『禁忌のマグナ』

 ライドオンさんのSWITCH用ソフト『マーセナリーズウィングス 偽りの不死鳥』

 DMM GAME×ニトロプラスさんのソーシャルゲーム『凍京NECRO SUISIDE MISSION』


 ゲームの仕事もやりたいところですが、年齢的に雇ってくれそうなところはないでしょうねえ。派遣や業務委託でも探しているのですが、なかなかありません。在宅で書かせていただければ言うことないのですが。


 というわけで、まだこのジタバタは終わっていません。

 人生の後半に入って、10年くらい失ってしまった感覚です。しかし、まだ終わらせるつもりはありません。

 とりあえず、前を向く。


 さて、最後にこの経験から、なんらかの教訓を得るとすれば、こんな感じでしょうか。


 体調不良が起こったら原因究明は早期に。男性更年期障害(LOH症候群)とわかったら、2年はかかるつもりでじっくりと。できれば、金銭的に余裕のあるうちに。やはりフリーランスは最低2年くらい生活出来るだけの蓄えは必要ですね。そして、焦らずに治すことを優先で。無理してジタバタすると、空回りするだけでなく、私生活も仕事も人間関係に亀裂が走ってしまいます。


 くれぐれも私の二の舞にならないように。


<未完>

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ぐだぐだ更年期障害~とあるライトノベル作家の苦闘~ 神代創 @sowkami

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