一章 亡霊エリィ・ヘレンズ
第4話 異世界アメイジア
異世界アメイジア。
この異世界は地球史にある全ての大陸が一つになった【超大陸パンゲア】と同じ
大陸形成をしている。
大陸の位置が同じなら大陸プレートの位置も同じ。
結果、起こるのは地球の生物史上最悪の大絶滅と同じことが起こる。
自然災害を回避する方法は無い。
噴火を防ぐ方法も無い。
宇宙に逃げる方法は、宇宙進出してないため使えない。
出来るのは巨大なシェルターを作って万年単位でやり過ごすことだけだ。
そのためにはお金が必要だ。
どれくらいかかるか不明だが、最低でも小国の国家予算並みだろうと見てる。
万年単位を過ごすシェルターなんて想像しただけで必要な物が多すぎる。
それにお金だけあってもダメだ。
最適な土地にシェルターを作らないと大災害の直撃を受けてあっという間に死ぬ。
とりあえず今居る地域、東の帝国、オーカム帝国はダメだ。
ダメな理由として偏西風がある。
大絶滅の引き金になったシベリアでの超巨大噴火。
シベリア・トラップと呼ばれるその超巨大噴火は、西ヨーロッパの面積に匹敵する程の溶岩を噴出するが、当然、溶岩だけではなく火山ガスも噴出する。
その火山ガスが偏西風で流れる地域がオーカム帝国だ。
火山性の毒ガスが届く程度ならいいが、イタリアにあった古代都市ポンペイの様に火砕流が発生して此方に届く可能性がある。
そんな場所にシェルターを建てるぐらいなら他の安全そうな場所に建てる。
「俺の記憶で覚えてる範囲だと、赤道辺りに生き残った生物が暮してたらしいが
安全かと言われると自信が無い」
前世の記憶を失った俺でも学習したことは覚えてるみたいだが、肝心の生き残ることについては全然覚えてない。
何が起こったか?については研究されてたが、どうやって生き残ったか?については前者ほど解明されてないせいもあるのだろう。
(原因が分からないと対策も分からず、生き残った理由も大雑把にしか分からない)
「まずは情報?」
情報?の言葉と同時に顎に手を当て、首を少し傾けるセレス。
「次にお金」
情報はともかく、お金(資金)は暫くどうにかなる。
俺を呼んだ召喚者、デドラ・ヴォイニッチⅡ世の遺産が手に入るからだ。
生前から遺産の受取人はセレスと一番弟子(そういう建前)の俺に指定されいて、相続税などの手続きを済ませれば正式に俺達の資金になる。
『次に名声だな』
「それ必要か?」
『冒険者として稼ぐなら必要だろ』
冒険者は、小説とかにあるイメージ通りの職業だ。
創設者が異世界人で、この世界に迷ってきた転移者の救済組織として作られた。
「……そうだよな、稼ぐにはそれがいいんだっけか?」
「そうです、冒険者以外で稼ぐには知識が足りません!」
仮に知識があっても異世界人の知識でチート無双なんてことは出来ない。
この世界は過去にたくさんの異世界人が訪れ、知識を授けていった。
その影響で日本料理もあるし、将棋やチェスにトランプや花札やカルタまである。
長さの単位は日本と同じメートルを使い(場所によってはインチ、フィート、ヤード、マイルなどの日本と違う長さの単位を使う)、重さと広さの単位も同じだ。
「
すれ違った冒険者が背負っていた
文字通り水蒸気の圧力で弾を飛ばす武器だが、単発でしか撃てないので連射できる物を作れば売れるはずだ。
もちろん知識が無いので出来ない、前世の知識に銃の専門知識があっても水蒸気式と言われるように蒸気を使うため、前世と同じように作っても熱処理がうまくいかない。
前世と同じように火薬を使った武器なら問題ないが、硫黄が高すぎるため火薬式の武器は一部の都市防衛用に配備されてるだけだ。
『私は死ぬ前は騎士だったが、やっぱり稼ぐなら冒険者だろう』
度胸と腕があれば冒険者が一番稼げるので強く勧められる。
「私達の特性から考えると、冒険者以外の職に就くことは効率が悪い。」
「そうだよな」
俺とセレスは戦闘用のホムンクルスだ。
戦うことを目的に作られ、しばらく戦わない期間があると不具合が起きるらしい。
どうなるのかは知らないが、肉体か精神に影響がでるとか何とか。
(製作者のデドラⅡ世も正確には把握してない)
「あ、見えてきました。あれが冒険者ギルドです」
外見は大使館みたいな三階建ての建物に国、領主、冒険者ギルドと各紋章が入ってる旗が飾られ、開けっ放しの門には
ギルドの中は案内と複数の受付や書類を書くための机などが並べてあり役所のような印象を受ける。
「こんにちは、迷宮都市アーバルの冒険者ギルド本部へ、ようこそ!」
入り口から入って直ぐの所で、受付から声が掛けられる。
そちらに顔を向けると、耳が長く尖がってるエルフのお姉さんが受付をしていた。
「えっと、冒険者になりに来たんだけど」
「新規の登録ですね、向かって右側に冒険者の新規受け付けがあるので、整理札を持ってお待ちください」
案内された通りに進むと、そこからは流れ作業。
登録用紙に記入し、受付でチェックを受け、登録に必要な手数料と指紋を取られ、簡単な説明を口頭で受けた後に、冒険者カード(見た目ドックタグ)を受け取って完了した。
冒険者カードは名前と登録番号に更新した場所の郵便番号らしき番号が書かれており、冒険者のランクが上がったり、冒険者カードの更新時に新しく変わる。
俺は新人だから最低のFランクからスタートで、F~Aランクまであり、Aランクで
一定条件を満たしたら最高のSランクになるらしい。
最高ランクとか、俺には縁の無い話だと思っていたが、亡霊やセレスには違ったみたいだ。
「まずはBランクですか?」
『そうだな、そこまではランクを上げることを目標にしよう。』
「その為には注意事項を確認しないとな。」
セレスと亡霊に任せると、とんでもない内容の依頼を持ってきそうだったので、
先に良い依頼を探そうと、受付で聞いた掲示板を見た。
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Bランク【
依頼者:調教師
貴族の誕生日祝いに私の
普通なら喜ぶのだが、購入予定数が多くて困っている。
そこで依頼だ、野生の
報酬は毛並や見た目で変化するが最低でも100万ダル前後になるだろう。
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これはBランクの依頼だけど良いのか分からない。
だけど亡霊曰く、この依頼は急いでないから安いらしい。
『まずは常駐依頼を見た方がいいぞ』
なんでも、常駐依頼の値段でランク別の依頼料が分かるのだとか。
今受けられる常駐依頼は以下の通りだ。
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Fランク常駐依頼【グループアントの討伐】
依頼者:冒険者ギルド
森や畑を荒らす害虫です。
冒険者ギルドでは常時討伐を募集しています。
討伐証明はグループアントの顎、きちんと左右の顎を揃えて提出してください。
報酬は一匹当たり、500ダルです。
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F~Dランク常駐依頼【薬草の収集】
依頼者:冒険者ギルド
傷薬になる薬草の収集依頼です。
冒険者ギルドでは傷や病気に聞く薬草の収集依頼を常時行っております。
薬草の種類によって収集する際に注意が必要です。
詳しくは依頼受付係までお越しください。
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常駐依頼はこの二つだけのようだ。
薬草の依頼は知識が要るので、まずはFランクの討伐依頼からだろうか?
そう思いセレスを見ると、彼女は新人への注意事項と一緒に張り出されている近辺で出没している盗賊の賞金首情報をみている。
「賞金首は冒険者のランク関係なしに受けられる」
この言葉で嫌な予感というか、嫌な確信をした。
『盗賊の賞金首か、お手頃でいい感じだな』
新人で賞金首退治はSランクの登竜門と言われてるが、この時の俺は知らなかった。
「いや、最初は無難なグループアント討伐とかにしない?」
「ダメ」
『ダメだ』
こうしてセレスと亡霊の二人に押し切られ、賞金首討伐が決定した。
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