透明な明日

ハッピー

第1話



私の世界は総天然色。

赤や青、ピンクに黄色。

色んな色が混ざり合い、私の心を塗り替えていく。


毎日を生きるということは、毎日の生活の中で出会う人の色に出会い、空気に触れて日々刺激を受ける事。

心に受けた色は、その日の夜まで、薄っすらと付いたままとなっている。


時には新しい色に出会い、楽しくて狂喜乱舞する時もある。


だけど、大抵は毎日。同じ色の組み合わせ。

変わりばえのしない毎日。

そんな日もあるわよね?

、、人生って。

よく言う、毎日同じ繰り返しっと言うやつよね。



たくさんの人との出会い、、、

たくさんのやるべき事に、なかなか出来ないやりたい事、、、

1日の時間は24時間。

誰しもが同じ1日という時間を過ごしている。


なのに、私は今日も『やりたい事』が出来なかった。

などと、自分に呆れて溜息をついて生きている。


それでも。

わたしは毎日を生きる。

1日1日と空気を吸い、物を食べては水を飲むの。


自分の細胞を引き連れて、その日その日を暮らしている。


家族や、かけがいのない自分の周りの人たちと共に。


だけど、朝は苦手だ。

毎朝、一体何度、目覚まし時計の頭のボタンを叩いたら、私は起きるのだろうか?

可哀想な赤い目覚まし時計が、叩き壊れた時だろうか?


「大変!!!」


ようやく起きると、身支度し、、

家族と共に、嵐のように家を出る。


夕方、家に帰ると、

家族と共に食事をして、1日の終わりの身支度をして明日を信じて、家族と共に家で眠りにつくのだ。


慌ただしい毎日、、


唐突だが、実は私の心の中には、もう1人の自分がいる。

心の平原というところに、みずから小瓶の中に閉じこもっているの。


怖がりで退屈が大嫌いで、寂しがりや、、

それに。

嫉妬深くて、自分と人を比較してはがりの、

『感情むき出しの子どもの時の自分』。



三歳の頃と、幼い時の子どもの姿で、

いつもピンクのタオルを被っているの。


片手は親指を吸ってて、片方では、ピンクの端っこを、ニギニギとしている。


そうしながらも、構って欲しそうにも見える目を、こちらに向けているのだ。

、、、ガラスの小瓶の中から。


私は語りかけるの。

その日にあった事を、どんな色があったか、

どんな人がいて、どんな事を言っていたか。

どんな色を、その人から私が感じたか。


ガラスの中の、小さな私は、つまんなそうな顔をしながら、じっと聞いているの。

まるで聞いていないかのようにしているの。


なのに時々、質問したりするからビックリしちゃう時もある。


「楽しいよ〜毎日!

小瓶から出て、一緒に外の世界に行こうよ〜🎵」



私は毎日、彼女を誘うの。

小瓶の中に入っていては、世界の色も形もよく見えないよって。


だけど彼女は首を振るの。

いつも、話し終えた私をジッと見た後に。


「ここにもいるもん。

世界の色に混じりきった『わたし』は、

わたしでは無いもん。


わたしは、自分の意見を言える存在として、

ずっとここに居たいんだもん」


彼女が一人ぼっちで寂しいものなのだと、

私は勝手に考えていた。


、、違うの?

もしかしたら、一人ぼっちで寂しいのは、

私の方なの???


毎日、外の世界に誘うのは自分なのだ。


私は本当は、外に出る事が辛い、、のかも?

朝が起きれないのは、、寝不足というよりも、、

体が外に出ることを拒否してるの???


『楽しいよ』

そう誘っておいて、、

本当は、楽しいと思い込まないと、

外へ辛くて行けなかったのかも、、、。



小瓶の中のわたしは、いつの間にか、わたしと同じ大人の姿になっていた。



同じ赤色のパジャマを着た姿は、まるで鏡に写った自分を見ているようだった。


「寂しがらないで?

わたしは、いつでも貴女と一緒じゃない?


貴女の感じる世界の色、出会う人から感じられる色は、同じようにわたしも感じられるのだから。


ただ。

私はあなたと違って、思った事を素直にあなたに言うだけ。

あなたは社会とつながる為に、自分の意見を抑えて生きなければ行けない場面もあるから、、

辛いと思う、、


だけど、、私はいつもそばにいる。

あなたの心の中にいるの。


このガラスの小瓶は、

あなたと私。社会とつながるあなたを傷つけない為、あなたに傷をつけられない為の、お互いの為の壁なのよ。


第三者の目で見るように、客観的に自分を見る。

それが私の仕事、、


あなたの気持ちも、世界の色も形、出会う人との色に混じり変わるあなたを、わたしは、

あなたを客観的に見て、あなたを生かす為にずっとここに居るわ?



嬉しい色、大好きな色も、

大事にずっと、私が持っていてあげるから、、

あなたは沢山の、好きな色を世界から見つけていらっしゃい。」



わたしは、心の中の小瓶の中の自分に諭されて、ようやく目が覚めた。



わたしは何の為に生まれてきたのか。

これから、どうやって生きたら良いのか、、


大好きなものを。

自分が集めたい色を、世界から探して集めていけばよいの。


わたしはもう、言わないと決めた。


「楽しいよ〜毎日!

一緒に外の世界に行こうよ〜🎵」


その代わりに、明日の夜からはこの言葉を言おう。

「今日は、こんな素敵な色を見つけたの」


そんな話を、これからは沢山、話してあげられる自分になろう。

わたしは小瓶の中の自分に、お休みを伝えると目を瞑ったの。


不思議だったの。

何故だか、胸の中が暖かくなっていた。

『お休み』

もう1人のわたしが、優しく囁いたような気がした。


その時、ふと思ったの。

まだ明日の私の心は、透明なんだなぁ、、っと。

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