第2話 秘密結社食堂 その1

 読者の皆には紹介が遅れてしまったようで申し訳ない。私の名前は一文字・恒彦いちもんじ・つねひこ。仲間内からは『ちょめ』との愛称をつけさせてもらっている。


 まあ、何故、この本名から『ちょめ』と呼ばれることになったことは、本編とは関係ないゆえに説明は省かせていただくことにしよう。


 さて、最初のインタビューは、『夢が無い。うちは読者に夢を売っている』とのことで、とある雑誌の編集からダメ出しを喰らってしまった。確かに編集と言う通り、誰しもが知りたがっているだろう秘密結社の『年収』は非常にリアルであるが、夢という点においては合格点に達していなかったということは自分でも察している。


 とういわけで、今回はもう少し、夢のありそうな話題を取材しようと思う。


 私こと一文字・恒彦いちもんじ・つねひこは、秘密結社のゲートの警備員に取材許可証を見せる。すると、彼は持ち物検査をすると言い出して、私のお尻を中心に撫でまわしてくる。


 うーーーむ。いつも思うのだが、私なんかの尻を触って何が嬉しいのだろう? この三十路に達しているだろう女性警備員は。


 まあ、そんなことはどうでも良い。この時間帯の内に、とある場所へと行かなければならないのだ。


 私は腕時計をちらりと見る。現在時刻、午前11時55分。昼休憩まであと5分といったところだ。私は急ぎ足で秘密結社:わんわんおーの秘密結社食堂へと向かう。



 ワンワンオ~、ワンワンオ~♪



 秘密結社だと言うのに、なんとも間抜けな昼休憩を告げる音楽だ……。ここが本当に秘密結社なのか疑わしくなってしまう。しかし、そんなことよりも、ここの秘密結社食堂のメニューをチェックすることが肝要だ。


 ふむふむ。やはり『かつ丼』、『ヒレカツ定食』、『とんかつ定食』と『勝つ』の縁起担ぎのメニューが多い。しかし、ここで注目すべきは『かつカレー定食』だ。


 秘密結社:わんわんおーは完全週休二日制と銘打っているが、実のところ、休日出勤は当たり前の組織なのだ。それもそうだろう。百貨店デパート屋上のヒーロー戦隊vs怪人ショーは土日開催が定番だからだ。


 秘密結社:わんわんおーでは、そのヒーローショーに本物の怪人と戦闘員を派遣するといったサービス満点の組織である。しかし、そのサービスゆえに、秘密組織のメンバーたちには定期的な休みはあまり無いと言ってよい。


 しかるに、曜日感覚が狂いやすい職場であるために、月曜日の昼は特別メニューとして『かつカレー定食』が提供されることとなる。


 ちなみにこの『かつカレー定食』のミソは『定食』であることだ。カツカレーにサラダと味噌汁、そして、小さなお椀に入ったうどんがついてくる。夏場になるとうどんではなく、ソバになるところも好印象だ。


 ふふっ。読者の方はもう察してくれているだろう。私がこの組織に取材に来たのは月曜日である! 私のお腹はかつカレーが食べたくてしょうがないのである!


「ふあああ!? 味の革命やー!? こんな分厚いかつにたっぷりのカレーをぶっかけているなんてぇええ!? こんなの何杯も食べれるやんかーーー!」

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インタビュー・ウィズ・ソルジャー ももち ちくわ @momochi-chikuwa

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