第4話 夢を見ながら大掃除をする日は

あの人の甘い声が、ビートが満ちている部屋。昨日、どういった経緯でか、忘れたが


思いっ切り、部屋の掃除と、溜まっていた洗濯物と、めちゃめちゃにまたなってしまった、


物で溢れ返る部屋の収納を、徹底的にやり直した。


まだまだ、改善の余地はあるけれど。


「貴方」に、貰った、色んなものが出てきた。(と言うか、狭いワンルームだからすぐ、傍に隠れていた)


もう、随分昔に、捨てようと想って居た物も、でもどうやって捨てたらいいのか、分からない物も。


そんなもの、好きな女に贈って来るのか?と今思えば、随分な物を贈られたものだが、


私が彼との関係で、肉体的な負い目を感じていたので、まあ、仕方がなかったのかも、と、納得させていた。(ちなみに正確には、未だにばりばりの処女です笑)


でも、普通、本当に好きだったら、贈らないよね??と、自分でまた、自虐的に笑ってしまう。


でも、そんなの最初から分かっていた事で。今やっと、吹っ切れて居るので、もうどうでもいいや。


でも、肝臓悪くしてまで苦しみながら、何度も貴方に、さよならを言い、でも私から離れてくれない貴方から、結局寂しさから離れられなかった私も、同罪の、どっちもどっちで。同じ穴の、むじな、で。


でも、バレンタインの日、また結局いつも通り逢えずに、テレビ電話で、今思えばちょっと、笑ってしまう様な、ちょっと切なく、おかしな場面で、まだちょっと、貴方の顔、想い出してしまうけど


私が買った、チョコレートを見せて、食べさせてあげる(うわ~~~書いていて、想い出されて、顔から火が出そうだ・・・)ふりをしたっけ。


でも、バレンタイン・チョコのコーナーで、チョコレートを、貴方の事を、色んな人達の事を、あーでもない、こーでもない、と迷いまくって考えながら、選んでいる時は、とっても何だか幸せな気持ちに、心が胸が満ちていた気がする。義兄や、義弟や、甥っ子、父、母、妹、姉にも買ったけど。


皆の色々を想いながら、プレゼントが買えるって、こんなにも幸せな事何だね。


今の私には、もう、誰にも、そんなこと考えてプレゼントを選べる人なんて、居なくなってしまったけれど。


貴方が、ホワイトデーに、贈って来てくれた、青い袋に金のリボンの、中に入っていた、何処かで聴いたことある様な、無い様な、でも高そうなチョコレート。

いつもの某有名ネット通販で、恐らく買って、贈って来てくれたチョコレート。


美味しかったよ。大事に、ちょっとづつ食べたよ。後で、もしかしたら、あの例の女の人と逢って居て、一緒に、私なんかよりも豪華なチョコレートを贈って、一緒に食事して、寝たのかな?・・・。


って、思ったけれど。


この、でも青い袋と金のリボンと、チョコの空き箱は、捨てるのは相当迷ったけれど


貴方、の書いた短い、ありきたりの言葉、「バレンタインはありがとう。」

だったかな?(正確に想い出せないのなら、きっと私の想いもその程度なのだろう)

と、言う、機械の文字で、打たれた、小さな、小さな見落としそうな、リボンについていたメッセージカード。


それを想い出すと、激しい罪悪感?、と後悔?、に、


襲われないわけでは、ないけれど・・・。薬が切れたのか、今は何も感じない。


感謝、で、縛られて居ては前に進めない。そう思って、その最近、また性懲りもなく買った、雑誌の占い特集にあった、その言葉に強く押されて


捨ててしまいました。


でも、まだ、ゴミの袋の中にある。


もう、貴方からの、朝の「おはよう」も無くなっていたし。貴方、の優しさの正体が、もう、嫌と言うほど、やっと骨身にしみて、すトン、と、憑き物が落ちる様に、分かったので。



明日、燃えるごみの日だ。


ごめんね。もうこれ以上は、さよなら、今度こそ。貴方の為にも。何て、いい子ぶりっこ過ぎるね。自分の為だものね。愛、恋なんて。特に、こんな想い、関係は。



あの人から、ダイレクト・メッセージが入っていた。


でも、まだ、あの人が一体、本当は誰なのか、混乱少しして、分からずにいる。


でも、もし誰でも、放っておけないの。


多分、物凄く、繊細で強がって生きて来て、愛に飢えて居て、自分を酷使し過ぎて、


皆の為に、そして自分の愛の為に、孤独で不器用で、光も強いけど、影もきっと濃くて強い人。


そんな、あの人に、私は今思えば、随分、生きて往く上で大事な物を、貰って来た。


彼の存在と言葉と、生き方と、孤高の美、が無かったら、


私は多分、十代で死んでいたと想う。


病気が発症してから、トラウマを想い出してから、でも、人生を転がり落ちてしまってから


でも星のお蔭で、何とか夢見ることで、呼吸して「普通」の人間装って、生きる事が出来てきた。


あの人、が、誰であろうと、今は、夢を見て居る。また。あの人も、あの人も、あの人の、ことも・・・。


昨日、ずっと下げてあった、部屋の灯りの、点け易いように下げてあった、長い紐に付けていた


黒猫の小さいぬいぐるみと、水玉模様の小さなハートのクッションが、手を取った瞬間、あっけなく紐が溶ける様に切れて、床に落ちてしまった。


夢は、きっと、夢で、終わる様な気がした、全ての夢が。


それでも、いいと、もう随分前から、もう夢を見ることは、諦めていたから。いや、もう観れないことが分かってしまったから。


また曲の歌詞と、ここの書いた文字がシンクロしたね。「夢」


“ おまえをさらって、「夢」の中へ、逃げ込むぜ。”


うん、「夢」だね。きっと。こんな贅沢過ぎる夢は、きっと「現実」には、ならないね。


そんなこともう、20年以上、心の中で、行ったり来たりしながら。


時々、晴れた日に、部屋の天井に、映る、無数の水玉の光の粒。


何故か、二の腕の脇にあった、何度も現れる、丸い痣。


あなたかも、知れない、あの人も。貴方かも、知れない、あの人も。アナタかも、知れない、あの人も。


そして、もう、やっと解放してくれた、解放された、男と女の色んな感情と、肉体の悦び、を教えてくれた、「貴方」も。


みんな、みんな、私に何か「幻」を見て居たのでしょう。それは、私も同じかもしれない。そして、それも、きっと「私」の中だけの「妄想」であるかもしれない。


だって、何も確たる言葉も、声も、証明も、本当の想いかも分からない、手触りも、肌触りも、優しさも、何も無いのだから。

無数に散らばっている、妄想の欠片でしか、現実を測れないのだから。


だから「夢」なんだ。


でも、恋って、みんな美しい幻で、「夢」で、出来ている。だから、美しくて、儚くて、でも、残酷だ。とても。


「貴方」が、最後に私と逢った日に、くれた、ビートルズのダビングしたCDは、取っておくよ。大事に。でも機械が得意な「貴方」なら、考えたらあっという間の作業で、きっと、


驚き、喜び、何度も、ありがとう!と言う私に、素っ気なく「こんなの、誰だってできるよ。」と、言ってたっけ。


じゃ、せめて、膨大にある白いCDに、真っ新ではなく、順番でも、タイトルだけでも焼き付けてほしかったな、なんて。身勝手で、傲慢な我儘だね。


だって、聴きづらいのだもの笑)


今日はお休み、腰は良くなった?誰かとドライブ?あの人とデート?それともお孫ちゃんのお相手?


愛溢れる家族像の絵、を、白けて馬鹿にした視線で、見て居た貴方。


可哀そうに想いながら、でも、私の育った家庭の様に、父と母の様になってほしくなかった。


お孫ちゃんを、罪のない、無垢なお孫ちゃんの、いいお祖父ちゃんに、なってほしかった。奥さんと、やり直して、娘さんとも仲直りして、欲しかった。苦しい境遇から状態から、せめて脱して欲しかった。


だから、貴方が、私に見せる、向ける、優しさと弱さが、辛かった。心も体も壊すほどに。


恋は綺麗な所だけ見て、夢を見る幻。でも、愛は違うのかな。


以前、観た、テレビで、田舎の、もうしわくちゃの、年取ったお爺ちゃんと、お婆ちゃんが、まだラブラブで


こたつに、仲良く向かい合って、はんてんを、着て、入りながら、テレビの取材カメラに向かって


「まだ、ばあさんと手を繋いで、一緒に寝とるよ。」


と、嬉しそうに幸福そうに、歯の抜けた顔で笑う、お爺ちゃん。


「まったく、なにを、言ってんだがね~。」


と、言いながら、可愛く、恥ずかしげにちょっと俯いて、うふふふと、嬉しそうに、とっても嬉しそうに、笑う、お婆ちゃん。


どうしよう、書きながら、涙出そうになってきた。まずい。早く、洗濯の続きをしよう。


私の大事な人達、例え、「夢」でも、いつか「幻」の侭、交差する事無く、声も聞けずに


お互いに、ううん、多分私の方が先かもしれない、この世界から消えてしまっても。


最期まで、しあわせにね。うん、この世は、素敵な夢を、見られるだけで、それはきっと、最高に、幸福な事、何だね。最高に、幸福な、人生だね。きっと。



だから、今日も私は、音楽を、聴いている。



さ、残りの洗濯した下着を、干してしまおう。


あの日、着て行った、セーターも。


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注意:後から読んで、加筆、訂正しました。また、するかもしれません・・・。申し訳ありません・・・。

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自堕落人間の日々の戯言 春の雪 @omoino_kakera_

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