第3話 猫のいるイタリアン・レストラン

朝から調子が悪かった今日は、


散歩に行ったりしたけれど、また遊歩道の木々が大量に切り倒されて居たりして


生理になったコトもあり、


気分が重くなったまま、帰ってきた。


部屋に居ても気持ちが鬱々と晴れず、あ、そうだ今日は予約していたCDの発売日だ


と、想い出して、でも外に出るのが憂鬱で、コンビニでお金をおろした後


隣のドラッグストアで、軽めの缶チューハイを一本買って


飲みながら、遠くの某ツタヤまで行って来た。空が不思議に雲が重なり線を描き


綺麗だった。


某ツタヤで、CDを受け取り、店員さんが若くてかっこいい男の子で


自意識過剰な私は、いちいちそういう時、いや誰でも、緊張して声が上ずるのだが


丁寧な接客をしてくれて、ほっとして、ついでにレンタルで5枚千円のお得レンタルで


洋楽のアルバム5枚借りて、疲れたので久々に、隣にくっついているスターバックスで


珈琲とスコーンを注文して、一息ついた。スコーンは食べ切れず、持ち帰ったのだけれど。


此処でも、まあ、大型チェーン店だから、店員さんの丁寧な接客は、流石だなあ~~と想い、


珈琲を飲んで、でももう暗かったので、店を出て家路についた。


途中の、いつか入りたいと思っていた、隠れ家の様なイタリアン・レストランの前で


そこで飼われてる白ネコちゃんが、ご飯を食べていた。


あれ??こんな歩道で??とも思ったけど、ある意味、店の看板猫ちゃんなので、あまり考えずに


久しぶりに会えたので、「白ちゃーん♡」と猫なで声で、呼び寄せたけど


彼女?も食後のせいか、つれなく・・・。ふと見ると、その隠れ家的なイタリアン・レストランに


明かりが灯っている。


つい最近、そこの若い男のシェフさんに、お昼の時間帯はランチで、夜はバーになると、聴いていたので


でも、どうしよう・・・。買い物の帰りで、メイクもしてないしな・・・。と躊躇ったのだけど


こんなチャンス、滅多にないし、いつ死ぬか分からないと想ってるのだから、思い立ったが吉日!!と、訳の良くわからない、決断で


思い切って、その店の扉を開けた。


私以外誰も居ない店に、見知らぬ、黒髪を横に一つに縛った、妙齢のウエイトレスさんが出てきた。


でも態度が凄く冷淡?で、そっけなくて、乱暴。


もっと悪く言えば傍若無人。


私は、ああ・・・通好みが来るような店で、私みたいなのが来たから、不機嫌なのかな・・・。


と、思ったけれど、もうしょうがないので、メニューを見ると、バーでなく、食事のメニュー。


私の目の前にわざわざ持ってきた、大きい、メニュー板を、見ると、みな、ご飯のメニューばかり・・・。


あれ??と想いながら、予算の事もあり、ポテトの前菜と、ウーロン茶を頼んだ。


でも、そのウエイトレスのおばさんの、冷淡な態度と、予想と違った店の様子と


誰もお客が居ない気まずさで、私は思いきって訊いた。


「え・・・と、夜はバーになるって聞いたんですが・・・」


そう言うと、またそのキツイ態度のおばさんは、まくしたてる様に私の言う事をすべて、被さる様に否定して、



しかも、今はコースメニューの時間帯です。止めますか?みたいなことを言う。


あまりにもあまりにもな、その接客態度に、幾ら、外に出たらチキンなハートの私でも頭にきて、詰め寄った。


確かに、以前、此処の若い男性のシェフに、そう聞いたと。


そうすると、そのおばさんは、冷淡に早口にまくしたてる。


「ここは私と夫の二人でやってて、若い人等雇ったことはありません!」


私はその物言いに、不愉快さが耐えられずに、え??そうなんですか?じゃ、シェフの方の顔見ていいですか?と、立ち上がって、厨房の方へ行った。


そこには、確かにあの日と同じ顔だけど、あごひげを生やして、髪の毛も短くしてそり込みを入れた、男の人が。


で、その人も同じことを言う。じゃあ、もうしょうがないと、厭味ったらしく、でも特別に食べて行きますか?と言うその、シェフの奥さんだと言う、おばさんの言葉を振り切って


「いいえ、ここ通の人が来るところだとは思ってたんですけど、場違いな人間が来ちゃって、申し訳ありませんでした~・・・」


と言って、不機嫌に店を出た。


もうなんか、これ以上自分を貶めたくない自衛本能か、私は三文昼ドラマの様な事を思いめぐらした。


(そうだ、あの女は、あの若い男性シェフよりも、年食ってる様だったから、きっとイケメンの年下のイタリアンの修行をしてきた彼の、パトロンと言うか、全てをきっと事務や、資金面とかで支えてきたのだろう。だってあまりにも不釣り合いな夫婦だもの。年齢的にも。だから、若い女にバーとかで、色目使われて、旦那を取られたくないと必死なのだろう・・・)


と。


そう想えば、少し溜飲が下がり、自分を過剰に貶めずに済んだ。


でも帰り、いつもの居酒屋さんで、3本程焼き鳥を買い、ドラッグストアでワインとチューハイを買い


帰った。


猫ちゃんは大丈夫かな・・・・。何て想いながら・・・・。


ああ、よく女性雑誌にありがちな、女のドロドロや、


女同士の愚痴話に有りそうなことって、本当に漫画の様にあるんだな・・・と。


勝手に、そう想う様にして。


でももし、仮に、私が、その通の通う様な、隠れ家的イタリアンにそぐわない客だと思ったにせよ


そんなお乞食さんのような格好してた訳じゃあるまいのに


そんな事で、客をえり好みして、あんな接客してたら、普通、店、潰れるよ…とも、想った。


まあ、これも、人生経験かな?漫画や三文昼ドラや、女性雑誌の夫の愚痴コーナーにある様な事って


現実にあるんだなあ~~~・・・と。


目の前に、くっきりと浮かぶ、黄金色の、まだ満月の山羊座の月を眺めながら


家路についたのでした。


(でも、横になると、その場面と、された態度が想い出されて、蘇って、苦しくて眠れないので、ここに、いいネタとして、書いています。)


…どんな理由にせよ、音楽におけるファンに対する、想いにせよ、


自分達を、選んで支持してくれる人達を、えり好みして、選別して、態度変えてたら


その店も、音楽も、長続きはしないのよ・・・。


と、想うのであります。


三波春夫さんじゃないけれど、傍若無人な客は論外で、でも


「お客様は、神様です。」


の精神じゃないと、何事もね・・・。


何て、生意気にも想って、家路につき、


買って来たお酒と、おつまみを、かっくらった夜でした・・・。

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