第45話 ティータイム みずほと健一深夜の電話騒動 最終回

みずほは、いつものようにお風呂に入って、パックをしていた。

ラベンダーの香りのするそのパックは、みずほの気持ちを柔らかくした。

いつも、企業戦士として働いているみずほ。

この時間が一番至福の時であった。

彼女が企業戦士から一人の女性に戻る瞬間でもあった。

その瞬間を、一つの電話が無残にも壊した。

時計はAM1:00を回っていた。

みずほは、思った。

健一だな。

全く、なんでいつもいつも同じ時間に・・・。

今日こそは言ってやろう。

灯のことで私に電話してくるのはやめて頂戴・・・と。

みずほは勢いよく電話を取った。

「まったくもう!今何時だと思って・・・。」

みずほは驚いた。

なんと、泣き声がする。

「い・・・くたさん?」

面食らったのはみずほの方だ。

確かに、サイテー男と書いてある。

やっぱり、生田健一だ。

「どうしたの?」

「俺・・・彼女とも灯とも別れました・・・。」

「えっ!?」

みずほが答える。

「何で?」

何がどうしたの?私が灯と暫く連絡とっていない間に何があったの?

「灯を振ったの?」

彼女の事なんかどうでもいい。

みずほが心配だったのは、灯だった。

「振られたんですよ。彼女うつ病になってしまったんです。」

「灯がうつ病!?」

みずほは、驚いた。

内田家の人間も、灯も何も言ってこないからそんなことになっているとは、露ほども知らなかった。

「それで、生田さん。あなたは了承したの?」

「どうすることも出来ないじゃないですか・・・。灯が別れたい。疲れたって言ってるなら。俺は本気になったけど、病気の灯を背負う程、俺人間出来ていないから・・・。」

「本気になったなら、どうして灯の傍にいなかったの?うつ病だったら、人が恋しいに決まっているじゃない。それを見越して灯はわざと言ったんだと思う。あなたは、何も感じなかったの?」

健一は何も答えなかった。

ただ、一言こういった。

「みずほ姐さんには、お世話になりました。もうたぶん・・・これで電話することはないと思います。

お元気で・・・。」

そう言って健一は電話を切った。

灯がうつ病?

でも、灯の性格ならなるかもしれない、とにかくネガティブ思考だから。

ヘンな所でポジティブだし。

でも、私が行ったところで灯が何かに気付くとは思えないし・・・。

でも、灯の様子は見たいし・・・どうしているのか。

みずほは考えた。

そこで、みずほは今度の休みの日に、灯の所に行くことに決めた。



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