第18話 ティータイム みずほと健一暴露話

みずほは、遅い昼食をとっていた。

殆ど店内はガラガラであった。

彼女はいつもと同じ席で、いつもと同じオムライスを食べ、BLを読んでいた。

みずほの読書はいつも肝心なところで終わる。

彼女が読書をしていると・・・。

健一がやってきた。

彼は、みずほのテーブルに座ると、ふう・・・と言った。

彼女はなんだかんだ言って、面倒見屋さんだった。

読書の邪魔をされる。ちっ!と、思いながらも、健一の愚痴に付き合った。

「・・・それで?」

みずほが答える。

「・・・灯が、愛人になったは良いんですけど・・・。」

「うん。」

みずほが答える。

「なんか、勘違いしているみたいなんですよね。」

「何を?」

みずほがBLを読みながら答える。

「俺が、自分のことを好きだって?」

みずほは。BLの本をテーブルに置いた。

「馬鹿じゃないの?あんた分かってたでしょう?灯がそういう性格だって。何で愛人になれなんて言ったの?」

「そうしないと治まらないと思ったから、そう言ったんですよ。だって、あの子四六時中見てるんですよ、俺の事。俺が気付かないとでも思っていたんですかね。だから、愛人にしとけば治まると思ったんですよ。現にそこを抜かせば、灯は尽くすタイプだから、楽しいし。・・・ただなあ。」

健一は、頭を抱えた。

「俺の彼女がこの間、シオンに来たんですよ。その時灯、地下のホールで・・・すぐに気づいたみたいです。俺の彼女だって。灯、どんな顔をしていたと思います?」

「・・・分からないけど?」

「羨ましそうな、かと言って、俺に微笑みかけるんですよ。気持ち悪いですよね?」

「微笑む・・・」

みずほは、灯が恋の病にかかっていることを悟った。

それもかなり重症な・・・。

「そろそろ、終わらせようかなあ」

健一が、空に向かって言う。

「そんな、簡単にはいかないと思うよ。」

みずほが答える。

「灯の性格考えて見なよ。そんな簡単に終わらせるわけないじゃん。あんたか灯が、此処を出ない限り、無理だと思うよ。灯を遊び相手にするなんて、あんたも馬鹿なこと考えたね。こうなったら徹底的に灯を傷付けるんだね。じゃないと、共倒れするよ。」

「傷つける・・・。」

健一は考えた。

さて、どうやって、灯を傷付けるか。

「でも、灯は私の友達だから、お手柔らかにね。じゃないとあの子手首でも切るかもしれないよ。」

健一は、青ざめた・・・

でも、自分も恋人と別れたくない・・・

みずほは立ち上がると、バックを持って会計に向かった。

こんな、最低な男と1分1秒も一緒にいたくなかった。

後に残された健一は、暫く考えていた・・・。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る