第2話

翌朝、目を覚ましたがやはり身体は「野球選手」だ。

顔をつねったり殴ったりしたが痛かったのでこれは夢ではなくどうやら本当に現実のようだ。


「あの時、確かくしゃみをしたら突然、野球選手になった。だから、もう一度くしゃみをしたら元に戻るか?」

と思って、くしゃみをしたものの何の変化も無く野球選手のまま。

同僚選手や首脳陣(監督・コーチ)などにこの件を相談したが、「何、寝ぼけたこと言ってんだ?冗談は活躍してから言えよ~!」

と馬鹿にされて相手にしてくれなかった。


この日も試合があり、ベンチには入った。

まあ、出場はせず声援を送ったり出塁した選手の手袋や防具を取りに行く仕事を果たした。

ルールも数える程しか理解していないのである意味出場しなくて良かったと思っている。


今、事実上住んでいるのは野球チームの寮的な場所。

どうやら自分は綿貫(わたぬき)という名前らしいが実際の名前は大和大(やまと・だい)であるので、誰かと入れ替わった説はあるものの鏡などに映る顔や体型・声は大和大(自分自身)であるので可能性としては薄い。


そもそも、この「綿貫」という人物は聞いたことも無ければ会ったことすらない初めて聞く名前である。

その為、この「綿貫」という選手が野球の成績は良いのか?年齢はどれくらいなのか?など一切、知らない。

流石に監督などに「綿貫選手の成績を教えて下さい。」とか言ったら、絶対「なんで、自分の成績を教えてくれ?って聞くんだ?」とか思われるかもしれないので聞くのは避けた。


一体、この綿貫選手はどんな人物でどんな選手なのだろうか?

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くしゃみしたら野球選手になってた @noritaka1103

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